第156回日商簿記1級本試験・レビュー

みなさん、本試験お疲れ様でした。
出来た人も出来なかった人も、まずは、ここまでがんばってきた自分を労ってあげてください。高い目標を定めて、数々の苦難を乗り越えて、本試験をちゃんと受験してきたんです。立派です。その経験は、結果に関わらず大きな糧となって未来に活きてきます。
とはいえ、当然ながら結果が気になると思います。以下、簡単ながらレビューです。
商簿
試験委員が変わったのかなと思いました。まるで会計学のようでした。いつもの商簿は、
- 大問1題構成である
- 商品売買、有価証券、貸倒引当金、固定資産、など多くの論点を聞いてくる
- 計算量が多い
といった特徴がありますが、今回の商簿は、
- 小問2題構成である
- 純資産のみ、連結もPLのみ、という特定の論点を深堀りした出題である
- 計算量が少ない
といった感じで、今までとだいぶ雰囲気(解き味)の異なる問題でした。ちょっと全経上級っぽさも感じました。
簿記検定ブログ(boki-navi.com)で今回の1級のアンケートを取っています。(ちなみにこちらのサイトの管理者である田口さんは、前の勤務先での同僚です。めちゃめちゃいい人です。)300名以上の投票数がありますから、統計的にも信頼度高めです。
これによれば、商簿は、かなり簡単16%、やや簡単29%、普通30%、やや難しい17%、かなり難しい8% という結果でした。「かなり簡単」と「やや簡単」で45%、「普通」まで入れると75%ですから、まあそんな感じなのでしょう。
このアンケート結果から見ると傾斜配点は期待できません。ほぼ自己採点どおりになると思います。
第1問 純資産会計
純資産会計は、易しかったと思います。
すべて初級確認テストレベルの問題だけで構成されていました。ここは、落としてはいけません。ケアレスミスさえなければパーフェクトが狙える問題です。怖いのは集計ミスでしょうか。あと、自己株式で△付け忘れるとか。
なお、NS社の解答速報では△付け忘れもOKとしていますが、個人的には厳しいのではないかと思います。会計基準に「自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する形式で表示する」と書かれているからです。
第2問 連結会計
普通の難易度だったと思います。が、部分点を集める解き方に慣れていないと(つまり、開始仕訳から順に仕訳を切っていく解き方をしている)と、難しく感じたかもしれません。
ひねってあったのは、次の3点でしょう。
- 評価差額の実現
- P社から購入した商品を外部に売らずに、広告宣伝費に消費した
- 負ののれん
あとは、2級レベルです。税効果もありませんでした。
評価差額の実現は、3年前でしたら「おお、難しいな」という感じかもしれませんが、最近ではもうおなじみの論点ですから、出来ないといけません。
「P社から購入した商品を外部に売らずに、広告宣伝費に消費した」は、個別上は30,000円を広告宣伝費に振り替えているけど、それって内部利益含んでるよねと。内部利益除いたら本当は21,000円でしょ。広告宣伝費の振り替えが9,000円多いよねってことに気付けるかどうかですね。現場対応力で気付けた方もいたのではないかと思います。
負ののれんは、まあ、さほど難しくはないかと。
仮に、上記3点をすべて落としても16点満点中11〜12点は取れるはずです。やはり怖いのは、ケアレスミスです。ミスをしたかどうかの勝負になると思います。
なお、個人的には「商標権の償却額はどこに入るんだ?」という点で悩みました。減価償却費?その他の営業費用?と一瞬考えましたが問題文に「減価償却する」と書かれていたので減価償却費に入れました。あとは、あまり悩みどころはなかったと思います。
会計学
さきのアンケートによれば、会計学は、かなり簡単17%、やや簡単21%、普通33%、やや難しい19%、かなり難しい10% という結果でした。「かなり簡単」と「やや簡単」で38%、「普通」まで入れると71%です。これも、まあ、そんな感じだと思います。同じ印象を受けました。
商簿と同じく、傾斜配点は期待できません。ほぼ自己採点どおりになると思います。
第1問目 理論
難しかったと思います。(1)の株主資本と(3)の賃貸等は出来なくても仕方ないと思います。ほかは取りたいところです。
ちなみに、私は「賃貸等」不動産を「投資」不動産と書いてしまいました。お恥ずかしい。あと、「直先差額」を「直先」と書いてしまいました。まあ、×でしょうね。アホかと。
第2問目 有価証券
難易度的には普通だったと思います。保有目的の変更論点がありましたので、そこで戸惑った方がいたかもしれません。現場対応力で何とか出来た方は立派です。仮にそこを捨てても、6問中4問は取れるはずです。
繰延ヘッジでちょっと引っ掛けっぽい感じがあったのが印象的でした(引っ掛けてやろうという意識が試験委員にあったかどうか不明ですが)。
先物資産が借方残高なら、繰延ヘッジ損益は当然ながら貸方ですよね。あと税効果適用だよっていうのが冒頭に書かれていて、繰延ヘッジは末尾に書かれているので、忘れやすいかな、という印象を受けました。ここ落とすと痛いかも。
あと、先に答案用紙を見て「あれ、これってBS科目だけ?」というのに気がついて、さらに問題文にも「個別貸借対照表における金額を求めよ」って書かれていますから、期末のBS科目だけなら、簡単じゃないか!という気持ちになれたかどうかが大きいのかなと思いました。
で、やっていくと「保有目的の変更論点」があって、ああ、なるほど、ここで難易度のバランスを取ったのか、と納得したわけです。
「保有目的の変更論点」はズバッと捨てちゃうのもアリですが、どうせ2択(簿価か時価か)ですから直感でどちらかを選んで解くという手もあったと思います。ちなみに、保有目的変更時に適用される価額は、一部例外はあるものの、原則、もともとの有価証券の決算時ルールに従うことを知っていた方は、問題なく出来たことでしょう。
第3問目 理論問題
第3問目は易しかったと思います。特に理論対策をしていなくても、普通にテキストを読んでいれば、すべて難なく解ける問題ばかりでした。ここを落とした方は、テキストの読み込みが甘い可能性があります。
工業簿記
さきのアンケートによれば、工業簿記は、かなり簡単26%、やや簡単28%、普通24%、やや難しい14%、かなり難しい6% という結果でした。「かなり簡単」と「やや簡単」で54%と過半数ですから、これは本当に簡単だったのでしょう。
個人的には、そうかな?普通もしくは少し難しかったんじゃないの?という印象でしたが、そうでもなかったようです。
このアンケートのとおりなら、傾斜配点は期待できません。ほぼ自己採点もしくは逆傾斜が掛かるかもしれません。
第1問目 材料費会計の理論問題
問1は簡単でした。用語選択ですから、基準を読んだことがあれば、まあ何となくの語感からでも答えられたと思います。基準を読んだことがなくても、③などは、引取費用(外部材料副費)に該当するのはどれか、④も内部材料副費に該当するのはどれかを選ぶだけですから、出来た方が多かったのではないかと思います。
問2は少し難しかったと思います。①が×なのは明確です。②が○なのもほぼ明確です。③が難しかったのではないでしょうか。内部材料副費を間接経費処理するのは有名ですが、材料費に配賦するというのは、あまり知られていないのではないかと思いました。
ちなみに、やっぱりこの先生、出題傾向、めっちゃ偏ってるなと思いました。とにかく費目別が好きなんです。特に、材料費会計大好き。その点を考慮して答練で材料副費にフォーカスした問題を出題しましたので、やってた人は、結構出来たのではないでしょうか。
第2問目 材料費会計の計算問題
出来不出来が分かれたところではないでしょうか。問題文の読み取りが出来た人にとっては、簡単に感じられたと思いますし、何言っているのかイマイチ分からず勘で解いた人にとっては、難しく感じられたのではないかと思います。
これ、まさに、普段から口酸っぱく言っている「工簿は用語の意味を正確に押さえることが大事」が効いてくる問題でした。
第3問目 労務費会計の計算問題
これも出来不出来が分かれたところだと思います。ズバリほぼ同じ問題を答練で出題しています(残業代があるところまでそっくり)。答練をしっかり押さえていた方は、パーフェクトだったと思います。
ちなみに、「就業時間」が設問にあったので、ああ、これは理論問題っぽいなと感じました。勤務時間は休憩時間を含みます。就業時間は含みません。そこ知ってる?ということでしょう。これも答練で出しています。
原価計算
さきのアンケートによれば、原価計算は、かなり簡単71%、やや簡単15%、普通8%、やや難しい2%、かなり難しい5% という結果でした。「かなり簡単」と「やや簡単」で86%って…もう、これは「10%の合格率の検定試験の問題としては不適切」という範疇に入るのではないでしょうか。勉強時間を返せよって思っている方も少なくないと思います。
問1 売上高営業利益
資料1(3)を読み間違えないかどうかだけの問題です。ここ間違えると終わります。私は、くどいほどチェックしました。特に「単位当たりコスト」の「単位」を入念にチェックしました。それだけの問題です。こんなんで、原価計算の実力を検定されるとか、ちょっと試験問題としてどうなの?と思います。
問2 原価企画の理論問題
語群選択問題なので簡単といえば簡単なのですが、②と⑤が難しかったと思います。
正直、本試験中は、②に入る用語が分かりませんでした。分からないというかフィットする用語が選択肢の中に見つけられない感じでした。
「販売価格の設定方式は大きく分けて2つある」→「この方式では最初に②が設定される」とあることから「○○価格」が答えと推測します。そこで、該当するのは「目標価格」と「振替価格」しかなく「目標価格」は耳馴染みのない用語ですが「振替価格」は明確に違うのでどちらかを選べと言われたら「目標価格」だなという感覚で解答しました。
事務所に返って、持っている管理会計系の全書籍を調べたら、一橋大学の廣本敏郎先生・挽文子先生の共著に以下の記述がありました。
「目標価格から,中・長期計画から導かれる目標利益を控除し目標原価を算出する」
ということで、目標価格が正解です。
また、⑤には、価値連鎖とライフ・サイクルのどちらを入れても違和感がありません。
事務所に帰って、以下の書籍(岡本先生・廣本先生・尾畑先生・挽先生の共著)に「価値連鎖」とありました。
ちなみに、TACはライフ・サイクルにしていますね。NS社は価値連鎖にしているようです。NS社が正解だと思います。(個人的にはVEの定義から言って、ライフ・サイクルでも正解なのではと思いますが…)
問3 ABCの計算問題
問1と同じ論旨の問題です。論評するほどの問題でもありません。計算間違いしたかどうかだけの問題です。こんなんで管理会計の力を測定されるのかと思うと、一生懸命授業を受けてきた受験生に申し訳ない気持ちにすらなります。
さいごに
率直な感想として、通常通り採点すると、20%くらいの合格率になるのではないかと思います。さらに言うと、コロナ禍の中での試験ということで出席率もかなり悪く、そんな中で欠席せずに受けに来た人が母数ですから、もっと合格率が上がるかもしれません。
日商がそれをどう考えるかです。
過去の実績から言って、多分ですが合格率を10%プラス・マイナス3%以内くらいにしようと意図しているように思えます。
そうなると逆傾斜が入ることでしょう。工簿の第2問あたりの配点を重くしたり、原計の理論の配点を重くすれば逆傾斜になると思われます。
一方、特殊な回だったと割り切って20%以上の合格率を受け入れてしまうなら逆傾斜はかからないかもしれません。いずれにしても傾斜配点は無いと思います。
ちなみに、私の自己採点の結果は、商簿25、会計学23、工簿25、原計24 で97点でした。
“第156回日商簿記1級本試験・レビュー” に対して37件のコメントがあります。
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いつもサイトを拝見させていただいたおります。
早速のレビューありがとうございます。
自分の感想では、試験中はかなり簡単という感じで10%合格率とする場合、1問のミスが逆傾斜で命取りになると通常とは逆の恐怖心がありました。
けれども自己採点はしてみるとおよそ83点で、思ったほどできておらず自分の勉強不足にやや落ち込んでおります。
ちなみに合格率が10%前後だとする場合、素点ボーダーは何点ぐらいだと先生はお考えでしょうか?
>ちなみに合格率が10%前後だとする場合、素点ボーダーは何点ぐらいだと先生はお考えでしょうか?
まあ、いろいろ考えはありますが、言いません。言葉が独り歩きするので。
ただ、83点なら、いくらなんでも大丈夫だと思いますよ。どうやって採点しようとも8割超えは上位10%には余裕で入っていると思いますから。
ご回答いただきありがとうございます。
なるほど、そうですね。発言するのは難しいことを質問してしまいました。すみません。
とりあえず、今回の結果は概ね大丈夫であろうと思って次の勉強を始めます。
受験にあたり多くの箇所を参考にさせていただきました。大変有益なサイトを運営いただいたことをお礼申し上げます。
こんにちは。
簿記2級の評価聞きたいです
すみません、2級は見てません。
本試験のレビュー本当にありがとうございます。
今回は通常と比べて工原が数段易しすぎてびっくりしてしまいました。私はどちらかというと工原の方が好きでこちらを得点源にしようとしていたのですが、この難易度じゃ差はつかないと思いました。
私は工業簿記25点、原価計算24点(ライフサイクルにしてしまいました)なのですが、逆傾斜が怖いです。
原価計算の大問1、3は受験者の大半ができると思うので、大問1が3点、大問3が各1点×7箇所で7点の計10点で足切りは回避、大問2は5箇所全部正解のみ15点なんて配点になるのではないかと思っています。
こうされても合格点には届く計算なのですが、私以外も大体そうだろうし、商会まで本格的に逆傾斜しないと合格率10%~15%に収まらないのではないかと思うのですがどう思いますか?
>原価計算の大問1、3は受験者の大半ができると思うので、大問1が3点、大問3が各1点×7箇所で7点の計10点で足切りは回避、大問2は5箇所全部正解のみ15点なんて配点になるのではないかと思っています。
いや、さすがにそれやったら大顰蹙でしょ。理論でワンミスすると15点減点されるってことですよね?阿鼻叫喚ですよ。
そんなことすると、あまりに自己採点とかけ離れた点数が続出して、大騒ぎになることでしょう。
また、プロ簿記では模擬試験をやっていてかなりの人数の方が受けるんですが、そこで配点調整するんですね。で、そのときの経験からいうと、ほんの数点、動かすだけで、かなり合格者の数ってコントロールできるんですよ。なので、そんな大幅な配点調整は必要ないんです。
簿記マンさんは、仮に15点マイナスになっても、合格点ということは85点以上ってことですよね?大丈夫です。これは、いくらなんでも受かってます。
富久田先生
ご回答ありがとうございます。
調整は数点動かすだけでかなりできることは初めて知りました。それであれば心配のしすぎだったということですね。
はい。だいたい予想配点だと商18会20工25原24あります。ただ今回と同じように全体的に易しかった?149回は「原価計算-問題2-問1でAかBか×に分類する問題は9箇所全部できてのみ5点でそれ以外は0点だった。これで合格率が13%に抑えられた。」と以前予備校の先生が仰っていたので、今回はもっとダイナミックに逆傾斜が行われるのではないかと思ってしまいました。
それにしても工原の最近の特徴は顕著ですよね。工原の科目って費目別とABC(ただの除法と乗法)以外ないのかい!それ以外も出さないと工原全体を勉強するモチベーションが維持しにくい…と思います。誰とは言いませんが、ものすごくお偉くて凄い学者さんなのになぁ…
お疲れ様です。
自己採点の結果、72〜74点になったのですがこの点数だと厳しそうですかね?
ギリギリだと思います。
ちなみに記号にカッコをつけていないのですが、カッコの有無は採点に影響しますか?
もしよければご回答お願いします。
大丈夫だと思います。カッコの有無は影響しないと思います。そんなことしたら、暴動が起きます。
返信ありがとうございます!
カッコないとバツになるという情報を耳にしたので不安でしたがよかったです(笑)
ギリギリ受かってることを祈ろうと思います…
独学で勉強していて、工業簿記は過去問を解いていても7割から9割は取れていたので、特に不安はなかったのですが、商18会15原24、工業簿記8点の爆死でした。
第2問で、実際購入原価を、実際購入代価に材料副費の実際発生額を按分して合計した額を解答したり(保険料が外部副費なのにも気付かませんでしたが・・・)、直接材料費を実際消費額で解答したり、試験直後にはまあできたかな、と思っていたのに、解答速報を見て青ざめてしまいました。第3問も似たような感じで、解答は全て埋めたのに、かすりもしないような結果でした。
特に第2問・問1で、問題文には「勘定外で~実際購入原価を計算し、」と書いており、確かに材料勘定では外部副費を予定配賦するとも書いていますが、材料副費配賦差異分析も勘定外で行っているみたいだし、問1で問われているのは勘定外の実際購入原価なのだろう、と思ったのですが、何故違うのでしょうか。ネットスクールも当初の解答速報では勘定外の実際購入原価を解答として公表し、後に訂正したみたいなのですが。
オンデマンドコースで第157回合格に間に合わないかな、と思っています・・・
こちらをご覧になってください。
どうして工業簿記の第2問の問1は、実際購入代価に実際の外部材料副費を加算したものではダメなのでしょうか。
実際購入代価に110%,108%を掛けただけが答えだと簡単すぎると思い、外部材料副費を問うてるものだと空気をよんでそのように解答したのですが…
こちらをご覧になってください。
独学のためこのブログは大変勉強になりいつもお世話になっています。
私は自己採点では77~79点でした。
特に工簿が崩れて、第2問が全滅(まさにこの記事に書かれている通りまず問題文がうまく理解できず、さらに資料の見落としが重なり)、他は第1問の問2以外は正解で13点でした。
そもそも合計点数自体が今回の難易度だと当落線上かもしれませんが、工簿の第2問あたりに逆傾斜あるかもと書かれているのを見て足切りの可能性も恐れています。
第3問も結果としては全問正解でしたが一見しただけではよく分からず後回しにしたら運よく閃いた感じで、費目別計算の理解の浅さを痛感しました。
こちらをご覧になってください。
こんばんは!このブログをよく拝見させていただいてます!高校3年生独学です!
今回日商簿記1級156回受験してきましたが、自己採点77、8点でした。これは安心できる点数ですかね?
こちらをご覧になってください。
工業簿記の第2問の問1って「勘定外」で「材料別に外部副費のみを購入代価に加えた実際購入原価を…」とあるのでここで言っている外部副費って予定配賦のものでなくて、実際購入の金額になりませんかね?
なんかすっきりせず。すみません。勉強不足と思いますが教えてください。
こちらをご覧になってください。
商業簿記第2問の、負ののれん発生益の金額が260,000と200,000で意見が別れてます。
大原以外の解答速報は200,000としていますが、260,000は誤りなのでしょうか。
大原のテキスト通りに、子会社の純資産合計×持分比率-(取得原価1,000,000ー支払手数料60,000)で260,000と私は出しました。
「T社の発行済株式総数の60%を1,000,000千円で取得し、同社を子会社とした。さらに、当該株式の取得に当たって、P社はコンサルテイング会社に支払手数料として60,000千円を支払って」
上記問題文から、T社株の取得原価1,000,000千円の中に取得関連費用60,000千円が含まれていると読むか、含まれていないと読むか次第ですよね。
含まれていると読むなら負ののれん発生益は、2,000,000千円×0.6−940,000千円=260,000千円ですね。含まれていないと読むなら、2,000,000千円×0.6−1,000,000千円=200,000千円ですね。
大原を除く多くのスクールは、含まれていないと解釈したようですね。私も、本問を解いているときは、含まれていないと判断しました。特に深くは考えていなかったのですが、改めて、なぜ自分がそう判断したのかを考えたところ、多分ですが、上記問題文中の「さらに」でそう感じたのだと思います。
しかし、この問題文からは、含まれていると読むことも可能だと思います。(「さらに」があるので多少苦しいですが)
ですから、本来、どちらも正解になるべきなのでしょうが、日商がどう採点するのかは分かりません。
東京CPAもライフサイクルを正解にしているようです。
(大原、LEC、NS、クレアールは価値連鎖)
これは流石に問題が不適切ということで別解が認められる可能性が
あるでしょうか?
問題文中に「HIT製作所」という名称が出てくることからも分かるとおり、本問は一橋大学の先生による作問と推測されます。一橋大学の先生の著作に「価値連鎖」と書かれているのですからそれが正解でしょう。大原、LEC、NS、クレアールの解答の根拠はそこにあるのだと思います。
一方で、『VEハンドブック』日本バリュー・エンジニアリング協会によれば「VEとは、最小のライフサイクルコストで、必要な機能を確実に達成するために、製品やサービスの機能的研究に注ぐ組織的努力である」と書かれています。TACと東京CPAがライフサイクルを解答とした根拠はそこにあるのだと思います。
>これは流石に問題が不適切ということで別解が認められる可能性があるでしょうか?
「問題が不適切」と作問者が考えることはないでしょうし、ましてそれを理由に別解を認めるようなことはしないでしょう。理論的におかしいとか不備があるというなら、不適切と言えるでしょうけど、そんなことはありませんので。
1つ2つのスクールで解答が割れたくらいで、自分の著作に書かれている内容を不適切であるなどと認めるような学者はいないと思います。
ただし、問題が不適切だからではなくて、上記のようなVEの定義も勘案して、受験生のために譲歩して、別解を認めることはあるかもしれません。
試験に直接関連のある質問ではなく申し訳ないのですが、
連結に際し取得関連費用がある場合の処理は1級対策や会計士試験対策として
押さえるべきでしょうか?
応用論点という認識があったのでノータッチで今回のT社の連結は解けませんでした
153回と今回の156回と、すでに2回出ている論点です。これからの必須論点と言っても良いと思います。
質問失礼致します。
今回私は自己採点で素点8割は超えましたが、
会計学で営業活動によるキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュフローとかいた場合バツになるのでしょうか?そこだけ少し不安が残ります。
点が抜けるだけでバツ肢になるというようなことがあるのか気になりました。
日商の採点基準は公表されていませんので、外部者が、これは○になるとかバツになるなど分かるはずもありません。
ただし、以前、「評価・換算差額等」が問われたとき、「評価換算差額等」も正解になったという実績がありますから、その点からは大丈夫な可能性が高いと思われます。
「プロ簿記」はたいへん分かりやすく、独学の参考にさせていただいております。156回工業簿記第3問に関連して、よろしければ質問させていただきたいのですが、「平均支払賃率」は、予定率でしょうか、実際率でしょうか。
これが予定率なら、5月分未払賃金1,065,400円は予定額になるので、4月分840,000円も同様に予定額と思われます。
そうすると、賃率差異46,000円は、840,000+1,360H×@1,400円=2,744,000円と賃金手当総額2,790,000円との差額なので、4/21~5/20(給与計算期間)に対応した差異ということになろうかと思われます。
本来、賃率差異は、(予定率ー実際率)×原価計算期間中の作業時間、と理解しておりましたが、給与計算期間と原価計算期間のいずれでも「5月中の賃率差異」ということになるのでしょうか。
他方、これが実際率なら、上記2,744,000円も実際額となるはずですが、なぜ賃金手当総額2,790,000円と差異が生ずるのでしょうか。
愚考した結果、可能性としては、
・「賃金手当」なので、加給金以外の手当も実は含まれていて、賃金だけでみれば、2,744,000円なのでないか。しかし、そうだとすると、賃率差異はどう考えればよいのか。( 2,100H×@1,400円ー(2,100H×@1,400円+60H×@1,400円×35%)=△29,400円か??)
・あるいは、平均支払賃率@1,400円は5月中全体を平均した結果にすぎず、5/1~5/20だけなら@1434円くらいなのでないか(5/21~5/31がそれより低くなり、5月全体で@1400円になる)。そうであれば、5月の未払賃金は、1,065,400円より小さくなるのでないか。
などと、つらつら考えてしまいました。
御指導いただけますと幸いです。よろしくお願いします。
よく勉強されていますね。
論点は、平均賃率は予定なのか実際なのかということですね。これは、予定です。もし実際賃率で計算していたら賃率差異は生じません。本問は賃率差異を答案要求していることから予定賃率を使っていることは明らかです。
となると、未払賃金を予定賃率で計算していいのか?という点が論点になりますよね。
当月未払賃金を、予定賃率で計算してしまうと当月の21日〜月末までの未払賃金と消費賃金の額が一致しそこから賃率差異が生じません。
逆に前月末の未払賃金は予定賃率にもとづいて算定されており、それに対して、当月支給額は実際額なのですから、むしろ、前月21日〜前月末までに生じた賃率差異が、当月の賃率差異として算定されてしまいます。
つまり、賃率差異は、前月21日〜当月20日までの給与計算期間に対応しており、原価計算期間である当月1日〜当月末に対応していないのです。このあたり、書かれているとおりです。
そうなんです。対応関係から言うとおかしいのです。理論的に整合していません。
ただし、許容されているのです。
これは、差異の会計処理によくあることなのですが、そもそも差異は金額として僅少であり、それをより厳密に計算したところで、ほとんど変化しません。こういった手間を掛けて計算してもさほど正確性が変わらないときは、正確性よりも手間が楽な方(これを計算の経済性といいます)を取るという処理がよくあります。
典型的なのが原価差異の会計処理です。原価差異は受入価格差異をのぞいて、原則、全額を売上原価に賦課しますよね。これも対応関係から言ったらおかしいです。原価差異は、製造から生じたわけですから、売れる・売れないに関係なく配賦(つまり売上原価と期末在庫に配賦)すべきです。
しかし、まあ、どうせ前期末と当期末の期末在庫量はさほど変わらないだろうから、それを考慮して厳密に計算しても、たいして変わらないだろうという前提があるわけです。つまり、手間をかけたほど正確にならない。じゃあ面倒なんで全部売上原価に賦課していいよというルールです。(原価計算基準47)
考え方はこれと同じです。理論的には整合していない(対応期間がずれている)けど、まあ、誤差はほんのわずかだから計算が楽な方でいいよということです。
よって、未払賃金は予定賃率で計算することが許容されています。
ちなみに、一橋大学の原価計算の大御所、岡本清先生の「原価計算 第6訂」のP145に、このケースが書かれており、実際就業時間数に予定平均賃率を乗じて未払賃金を計上するとあります。
ここからは、個人的な見解ですが、正直なところ本問は齟齬があるとは思います。
例えば、残業代を間接労務費として処理していますが、これだって、もし、特定の製品にあとづけできるなら、直接労務費になりえます。製品との関係が不明なので間接労務費とするのがまあ妥当と思いますが、本来なら指示を出すべきでしょう。
また、ご質問内容についても同様です。本問は、情報がないがゆえ、当月未払賃金を予定賃率で計算するしか方法がありません。しかし本来であれば、そういうメタ情報で解答させるのではなくて、ちゃんと指示を入れるべきです。「実際就業時間数に予定平均賃率を乗じて未払賃金を計上せよ」などです。
本問に限らず、現試験委員の問題は、ひとりよがりというか、なんというか。残念に思うことが多いです。合格を考えるなら、管理会計という学問の勉強と並行して、現試験委員のクセを知るという対策も必要になりますね。
御丁寧な返信をいただきありがとうございました。
未払賃金は予定額ベースで差し支えない、賃率差異は給与計算期間の発生分を計上しても差し支えない、ということをあらかじめ知っていれば、迷うこともなかったですね。
専門外の分野を資格学校テキストで独学しているだけなので、知識・理解の浅さを痛感します。「原価計算」のような基本書を読み込む必要性を感じてきました。
いずれにしても、御指導ありがとうございました。
pro-boki先生
いつも参考にさせていただいております。
156回工業簿記第3問の(4)賃率差異について、1点教えていただけますでしょうか。
加工時間の定時間内作業分と間接作業分と、(作業内容はどちらかわかりませんが)時間外作業分とその割り増し分、これらの合計(2969400円)が仕掛品に計上される労務費と考え、それと実際の発生額3015400円との差額である46000円を賃率差異と考えたのですが、過去問題集(TACさん)の正解は75400円となっていました。割増分の29400円も差異に含めて計算すると書いてありました。昨日はそうなのかと思いましたが、いまいち解せず、他の解説サイトや動画をみてみたところ、46000円が正解というのと、75400円が正解というのと、両方ありました。一体どちらが正解なのでしょうか。
ご多忙中誠に恐縮でありますが、ご教示いただけますと幸いです。
あるいは、このHPのどこかで解説をいただいているようでしたら、そちらをご指示いただければと存じます。
※161回は通ったかどうかわからないので、そろそろ過去問と再び向き合い始めておりますが、さっそく昨日この問題で躓きました。
。
これは問題の不備です。よって、スクールによって解答が割れています。
解答速報時点では、全てのスクールとも46,000で統一されていましたが、TACがサイレントで75,400に解答を変更し、その他のスクールは解答変更をしていないままという経緯があります。
なぜ、46,000と75,400の2つの見解が生じるかについて、プロ簿記の内部では、次のように解説しています。
本問は、当月未払額に計上されている残業代(@1,400円×0.35×60時間=29,400円)についての処理が指示されていないという不備があるため、解くことができない。
残業が経常的に生じるのであれば、残業代をあらかじめ消費賃率の中に算入させておくべきである。この場合、当月消費額の算定においては、残業代を別途計算する必要はない(この場合、製造間接費が560,000円、賃率差異が75,400円となる)
もし、残業が経常的に生じるものではなく、どの製品からも生じる可能性があるのなら、製造間接費に振り替えるべきである。また、経常的に生じるものでなく、特定の製品の製造に起因して生じたのであれば、直接労務費として仕掛品勘定に振り替えるべきである。
いずれも、可能性としては考えられるが、本問は指示が無いため解けない。よって、ここで示した解答例は一例である。
pro-boki先生
ご回答いただきありがとうございます。
残業代=間接労務費=製造間接費 と、ならないこともある ということがわかりましたので、また一つ身につきました。
今後ともどうぞよろしくおねがいします。