第170回日商簿記1級・詳細解説【原価計算】

第1問 業務的意思決定会計

問1 計画営業利益(単位:円)

①について
売上高 6,400,000 @20,000円×320人
変動費 1,856,000 @5,800円*1×320人
貢献利益 4,544,000 @14,200円×320人
準固定費 2,814,000 @210,000円×11*2+@84,000円×6*3
固定費 1,347,000 744,000円+410,000円+193,000円
営業利益 383,000  

*1 @3,400円+@1,200円+@850円+@350円=@5,800円
*2 320人÷30人=10.666…≒11(切り上げ)
*3 320人÷55人=5.818…≒6(切り上げ)

問2 追加で60人を受け入れるさいの採算が取れる1人あたり受講料

1.追加で60人を受け入れた場合の計画営業利益の損益計算書(単位:円)
  既存320人 追加60人 合計
売上高 6,400,000
変動費 1,875,200*1 408,600*2 2,283,800
貢献利益 4,524,800
準固定費     3,318,000*3
固定費     1,392,000*4
営業利益     383,000

*1 (@3,400円+@1,260円+@850円+@350円)×320人=1,875,200円
*2 (@3,400円+@1,260円+@350円+追加教材@1,800円)×60人=408,600円
*3 準固定費の算定
  必要講師数:380人÷30人=12.666…≒13(切り上げ)
  必要事務アルバイト数:380人÷55人=6.909…≒7(切り上げ)
  準固定費:@210,000円×13+@84,000円×7=3,318,000円
*4 744,000円+410,000円+193,000円+追加45,000円=1,392,000円

2.上記損益計算書の?部分を推定
  既存320人 追加60人 合計
売上高 6,400,000 976,800*3 7,376,800*2
変動費 1,875,200 408,600 2,283,800
貢献利益 4,524,800 568,200 5,093,000*1
準固定費     3,318,000
固定費     1,392,000
営業利益     383,000

*1 383,000円+1,392,000円+3,318,000円=5,093,000円
*2 5,093,000円+2,283,800円=7,376,800円
*3 7,376,800円-6,400,000円=976,800円

追加60人の一人あたり受講料:976,800円÷60人=16,280円

問3 もっとも有利となる追加受入人数とそのときの計画営業利益

1.もっとも有利となる追加受入人数

問2より、追加受入分については、一人あたり16,280円を超える受講料であれば受け入れた方が有利となる。問3では、一人あたり受講料を18,000円と設定しているため、受け入れれば受け入れるほど有利である。その点のみからの判断では、40人から80人の制約においては80人の受け入れがもっとも有利である。

この場合、400人を受け入れることになるが、準固定費の性質から、たとえば必要講師数の場合、400人にもっとも近い30の倍数である390人のときは、13人の講師数で足りるが、ここから受講生が1人でも増加すると、14人の講師が必要となり210,000円の費用の増加となる。

受講生1人から得られる貢献利益は11,190円(=受講料18,000円-変動費408,600円÷60人)であり390人に比べて、仮に制約上限の400人(追加で10人)を受け入れたとしても増加する貢献利益は111,900円であるため、増加する費用210,000円をカバーできない。したがって、400人より390人が有利であると判断できる。

同様に、事務アルバイトについても検討をする。390人にもっとも近い55の倍数である385人のときは、7人のアルバイトで足りるが、ここから受講生が1人でも増加すると8人のアルバイトが必要となり84,000円の費用が増加する。仮に390人受け入れた場合、385人受け入れたときに比較して5人分の貢献利益55,950円(@11,190×5人)の増加となるが、増加する費用84,000円をカバーできない。

したがって、390人よりは385人のときが有利である。同様に385人にもっと近い30の倍数である360人のときを検討すると、講師数が12人で足りるため、210,000円の節約になり、なおかつ、追加的な校舎家賃45,000円と通信費の21,600円(@60円×360人)節約になるので合計276,600円の節約となるが、一方で失う貢献利益は279,750円(=@11,190円×25人)であるから、360人まで減らしてしまうよりは385人の方が有利である。よって、385人がもっとも有利である。

なお、解答要求はトータルの受講生を問われているわけではなく、追加の受入人数が問われているため、65人(=385人-320人)が解答となる。

2.そのときの計画営業利益

既存320人の貢献利益:4,524,800円
追加65人の貢献利益:@11,190円×65人=727,350円
準固定費:3,318,000円
固定費:1,392,000円
より、計画営業利益は、4,524,800円+727,350円-3,318,000円-1,392,000円=542,150円です。

第2問 事業部制

問1 各事業部の損益計算書(単位:千円)

  F事業部 W事業部
売上高 60,000*1 45,000
変動費 16,000*2 10,000
貢献利益 44,000 35,000
管理可能固定費 33,600*3 25,500
管理可能利益 10,400 9,500
管理不能固定費 2,600*4 2,100
事業部利益 7,800 7,400

*1 @15千円×4,000人=60,000千円
*2 @4千円×4,000人=16,000千円
*3 18,400千円+10,500千円+4,700千円=33,600千円
*4 36,200千円-33,600千円=2,600千円

問2 加重平均資本コスト率(税引後)

30%×6.0%×0.7+30%×4.0%×0.7+40%×8.5%=5.5%

問3 投下資本利益率と残余利益

1.F事業部長の管理可能投下資本利益率と残余利益

税引後管理可能利益:10,400千円×0.7=7,280千円
管理可能投下資本:60,000千円×20%+92,000千円=104,000千円
管理可能投下資本利益率:7,280千円÷104,000千円=7%
管理可能残余利益:7,280千円-104,000千円×5.5%=1,560千円

2.W事業部長の管理可能投下資本利益率と残余利益

税引後管理可能利益:9,500千円×0.7=6,650千円
管理可能投下資本:45,000千円×24%+59,200千円=70,000千円
管理可能投下資本利益率:6,650千円÷70,000千円=9.5%
管理可能残余利益:6,650千円-70,000千円×5.5%=2,800千円

問4 新規開設案の採用の可否

1.新規開設案を採用した場合のW事業部長の管理可能投下資本利益率と残余利益

新規開設案の税引後管理可能利益:
 {9,000千円×(35,000千円÷45,000千円)-(2,900千円+1,650千円+730千円)}×0.7=1,204千円
新規開設案の管理可能投下資本:9,000千円×24%+12,840千円=15,000千円
管理可能投下資本利益率:(6,650千円+1,204千円)÷(70,000千円+15,000千円)=9.24%(①)
管理可能残余利益:(6,650千円+1,204千円)-(70,000千円+15,000千円)×5.5%=3,179千円(②)

2.新規開設案の採用の可否

税投下資本利益率にもとづいた場合、新規開設案の採用によって、投下資本利益率が9.5%から9.24%に低下するため採用しない

残余利益にもとづいた場合、新規開設案の採用によって、残余利益が2,800千円から3,179千円に増加するため採用する