ミニ講義・標準原価計算(時短テクニック)

あらゆる差異分析に使える時短テク
標準原価計算では、ほぼ必ず差異分析が出題されます。みなさんはどのように解いていますか?
多くのテキストは、差異分析をボックス図を用いて解説しています。確かに、ボックス図は視覚的に分かりやすいので、初心者が理解をする上では有用です。
しかし、あらゆる差異分析をボックス図で説明しようとするあまり、ボックス図が増えすぎてしまって、今度は、ボックス図自体が混乱を引き起こす原因になっています。たとえば、工業簿記と商業簿記、そして原価計算で使われているボックス図を見てみましょう。
工業簿記の差異分析で用いるボックス図

商業簿記の差異分析で用いるボックス図

原価計算(予算実績差異分析)で用いるボックス図(直接標準の場合)

みなさん、これを一生懸命に覚えるわけですよね。正直に言ってください。イヤになりませんか?
工業簿記と商業簿記はまだいいとしても、予算実績差異分析のボックス図に至っては、もうどこが予算でどこが実績だったか、覚えきれません。
実は、私は、差異分析にこういったボックス図を一切使用しません。使う必要がないからです。ある解法を用いるだけで、全ての差異分析は統一的に計算することができるのです。その解法を自ら開発して、使用しているからです。
この差異分析の解法について講義を行いましたので、そのときに使用した講義スライドを公開しましょう。
スライドの概要
数は率と量に分けられる
たとえば…
- 売上10万円は、客単価@500円×200人
- 合格者100人は、合格率10%×受験者1,000人
- 500kmの距離は、時速100km×5時間
差異も率と量に分けられる
差異分析とは、差異を率の差異と量の差異に分けること
- 直接材料費なら、価格差異と数量差異
- 直接労務費なら、賃率差異と作業時間差異
- 製造間接費なら、予算差異と能率差異
率の差異には実際量を掛ける
標準原価計算の価格差異、賃率差異、予算実績差異分析の市場占有率差異、商業簿記の商品評価損など、率に関する差異には、必ず実際量を掛ける。これに例外はない。
量の差異には予定の率を掛ける
標準原価計算の数量差異、作業時間差異、予算実績差異分析の市場総需要量差異、商業簿記の棚卸減耗費など、数量に関する差異には、必ず予定(予算、標準)の率を掛ける。これに例外はない。
差異分析の時短テクニック
| 標準 | @90円 | ×40,000kg | =360万円① |
| =378万円② | |||
| 実際 | @95円 | ×42,000kg | =399万円③ |
上記のような下書きを作成する。1行目に標準、2行目はあけて、3行目に 実際を記入する。あけた2行目には、1行目の@90円と3行目の42,000kgを掛けた金額378万円を記入する。
①−② が数量差異 (360万円−378万円=△18万円)
②−③ が価格差異 (378万円−399万円=△21万円)
詳しくは、スライドをご覧ください。
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“ミニ講義・標準原価計算(時短テクニック)” に対して10件のコメントがあります。
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こんにちは。
1年ぶりに簿記に帰ってきて時短テクを学習していましたが、上が量に関する差異、下が金額に関する差異が出ると言うのが何故なのかと気になりました。
そこで、材料と仮定、標準原価計算としてシミュレーションしてみたのですが
標準単価 × 標準数量 = 標準単価・標準数量①
↘︎ 数量
↘︎ ↗︎ = 標準単価・実際数量②
↘︎↗︎ 単価
実際単価 × 実際数量 = 実際単価・実際数量③
となり、
・①と②は数量、②と③は単価が標準と実際で異なること、
・標準-実際で求めるので、分解して考えた場合計算自体はテキストに載ってる公式みたいなやつ〔数量差異なら(標準数量-実際数量)×標準単位〕とやっている事は同じ
ただ金額が総額になっていただけ
こう言う見解で正しいでしょうか?
すみません、途中式がなんじゃこりゃになっていたので=後だけ再掲示します。
標準価格・標準数量
数量が違う
標準価格・実際数量
価格が違う
実際価格・実際数量
はい、そのとおりです。正しく理解されています。
時短テクの便利なところは、このルールが、標準原価計算の差異分析だけではなく、商簿の棚卸減耗費と商品評価損の算定や、予算実績差異分析など、会計で生じる差異の計算にはすべて統一的に使えるところです。ボックス図とか公式を覚える必要がなくなるのがメリットです。
ご返信、ありがとうございます。
このやり方は今後も応用が効くのが便利です。引き続き1級に向けて頑張ります。
こんばんは。
簿記2級を合格して1級にステップアップを考えている者です。
予算編成を学習を終えて差異分析をやっていたのですが分析図が覚えられません。
色々調べていたらここに行き着いて差異の計算に全て使えると書いていたのですがどの様に下書きすれば良いのかが分かりません(>_<)
解説お願い出来ないでしょうか?
よろしくお願い致します。
いや、スライド公開しているんだから、ちゃんと読んでよ。読まずに人に聞いちゃえっていうのはよくないよ。
こんにちは。独学で勉強しており、いつも大変わかりやすく解説していただきお世話になっております。
直接材料費の価格差異が率、製造間接費の予算差異が率、能率差異が量の差になることが理解できません。ボックス図的にはそう考えるのが正しいというのがわかるのですが、例えば能率などは特に率の差のように感じてしまいます。
理解しやすい考え方があれば教えていただきたいです。よろしくお願いします!
能率差異は、結局は作業時間の差異のようなものだからでしょうか?
>能率差異は、結局は作業時間の差異のようなものだからでしょうか?
そのとおりです。「当初予定していたよりも余計に作業時間が掛かった」ことを「能率が悪かった」と表現しており、その差異のことを能率差異と言っています。
”能率”という文字に”率”が含まれているので混乱しやすいですが、意味で考えましょう。
簿記1級合格を目指して勉強しているものです。
素晴らしい時短テク!
僕もボックス図はいろいろなパターンがあり、
憶えられない(憶えたくない)ので
無理やり自分で全て統一した感じのホックス図を使って計算していました。
それでも、自己流ボックス図なので、
本質を理解していないのではないかと不安がありました。
プロ簿記さんのボックス図を使わない方法には感動しました。
自分の考え方もあながち間違いではなかったと安心しました。
しかし、みなさん、いろんなパターンのボックス図を
使うなんて、どれだけ記憶力がいいのかと思っていました。
本当に感謝です。