1級ミニテスト・設備売却のキャッシュ・フロー

10分以内で出来るミニテスト
いままで書いてきた講義記事の多くは、執筆に数時間掛かるものばかりだ。読む方も大変だろう。設例がある記事は、解いて、解答確認して、解説読んでと、まとまった時間がないとなかなか読み切れない。1時間は掛かると思う。
それはそれでいいのだけれど、もっとライトに、というか、ちょっとした空き時間に読んでもらって、気軽に親しんでもらえる記事があってもいいかな、と思って始めたのが今回の企画だ。題して、10分以内に出来るミニテスト。
各論点のワンポイントをテーマにミニテストを出題していこうと思う。気軽にトライしてみてほしい。
今回のお題は設備売却のキャッシュ・フロー
今回のお題は、設備投資意思決定会計の定番論点、設備売却時に発生するキャッシュ・フローの算定だ。いろいろなパターンを用意した。これは、瞬殺してほしい。
問題
簿価600万円の固定資産を売却した。以下の各ケースにおける、この取引によって発生する損益とキャッシュ・フロー(以下CF)を算定しなさい。なお損益が損失の場合、およびキャッシュ・アウト・フローの場合は、解答数値に△を付記しなさい。法人税等税率は40%であり、法人税等の影響も考慮すること。
- 800万円で売却できた。
- 簿価で売却できた。
- 400万円で売却できた。
- 売却できずに無料で引き取ってもらった。
- 売却できないばかりか処分費用400万円を支払った。
答案用紙
| 損益 | CF | |
|---|---|---|
| ケース1 | ( )万円 | ( )万円 |
| ケース2 | ( )万円 | ( )万円 |
| ケース3 | ( )万円 | ( )万円 |
| ケース4 | ( )万円 | ( )万円 |
| ケース5 | ( )万円 | ( )万円 |
解答と解説
解答
| 損益 | CF | |
|---|---|---|
| ケース1 | 200万円 | 720万円 |
| ケース2 | 0 | 600万円 |
| ケース3 | △200万円 | 480万円 |
| ケース4 | △600万円 | 240万円 |
| ケース5 | △1,000万円 | 0 |
解説
これは、いくつかやり方があるが、一律、次の計算式で覚えてしまうのが良いと思う。
CF=現実に得た(支払った)現金 ± 損益×法人税等税率0.4
問題文で損益を聞かれていなくても、一応損益を出して機械的に上記の式で計算してしまうのが早い。イメージとしては、現実に◯◯円もらったんだけど、損益出ちゃったから税金も考慮しないとね、という感じだ。
もちろん損益は、売却額−簿価だ。なお、プラスマイナス(±)をどうするかは、損益がプラスなら、税務署から税金取られるし、マイナスなら税務署がその分税金安くしてくれるイメージを持つのが分かりやすいと思う。
そうすると、各ケースは次のようになる。
| 損益 | CF | |
|---|---|---|
| ケース1 | 800万円−600万円=200万円 | 800万円−200万円×0.4=720万円 |
| ケース2 | 600万円−600万円=0万円 | 600万円−0万円×0.4=600万円 |
| ケース3 | 400万円−600万円=△200万円 | 400万円+200万円×0.4=480万円 |
| ケース4 | 0円−600万円=△600万円 | 0円+600万円×0.4=240万円 |
| ケース5 | △400万円−600万円=△1,000万円 | △400万円+1,000万円×0.4=0万円 |
なお、ケース5の問題は実は日商簿記1級第110回原価計算からの抜粋なんだけれど、これについては次のように解説されていた。
- 簿価600万円の設備が売却できなかったので、その分のタックスシールドが、600万円×0.4=240万円
- さらに400万円の支払いがあったけど、節税効果を考慮すれば実質60%負担なので△400万円×0.6=△240万円
- 上記1と2から、240万円−240万円=0
個人的な感想として、これは分かりにくいと思う。場合分けによって計算式が異なるのは混乱のもとだ。やはり、一律に上記の式で覚えてしまうのが良いと思う。
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“1級ミニテスト・設備売却のキャッシュ・フロー” に対して6件のコメントがあります。
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こんにちは。
上記先生のやり方だと、簡単でわかりやすいです。
ありがとうございます。
私は、初めてCFの勉強したのがスッキリのテキストで
棒線引っ張って上にIN下にOUT。
それぞれの各項目ごとに0.4または0.6を掛けて最後に全部足す。
というのに慣れてしまっています。しかし、これだと時間がかかるのと、
これは0.4と0.6どっちを掛けるんだっけ?
となり、ミスをしてしまいます。
先生の方法ですと、迷いなくできます。
これくらいのミニテストだと仕事の手待ち時間に簡単にできます。
次も、お願いします。
設備投資のCFの算定っていくつか方法があるんですよね。
結局同じことをしているので、同じ答えになるのですが、
そこに至るまでのアプローチの仕方が複数あります。
どれが正しいということもないのですが(というか全て正しい)
一般にテキストの場合、丁寧に説明しようとして全ての項目をバラバラに計算するケースが多いです。しかし、これだと計算量が増えてしまって、実践的な試験対策として良いものとは言えないケースもあります。
ひどいテキストや講義になると、一律、「営業CF×0.6+減価償却費×0.4」で覚えればいい、なんていう乱暴な授業もあります。
これですと、意味も分からずの暗記になりますので、本番でつまづきます。やっぱり手間でもちゃんと意味を考えて、計算式を理解するのが近道だと思います。
ミニテスト、これからもたくさん出していきます。理解の助けになれば嬉しいです。
こんにちは。
手元に110回の問題があったのでやってみましたが、除却時の差額キャッシュフローで、減価償却費は考慮しないのでしょうか?
ひろりんさん、こんばんは。
110回の問3のことですよね。結論から言うと、減価償却費は考慮しません。
減価償却費は、年々のCFを算定するときに既に計算済みだからです。(110回の問題でいうと、問2で計算済みということです。)
このケースは日商の試験でよく出てきます。問3の除却に関する差額CFというのは、除却した年度のCFという意味ではありません。設備を除却したことに直接的に影響を受けるCFのみを計算しなさいという意味です。
つまり、設備を売却したならそのときに得られるCF(撤去にお金が掛かるならそのときに失うCF)とそれに係る税金のみを対象とします。
ここは、質問の多いところです。
以下の記事の解説のStep3〜5でも簡単に触れています。ご覧になってみてください。
https://pro-boki.net/setsubikougi03
こんにちは。
解説ありがとうございました。
他に似た過去問をいくつか解いてみて、ようやく理解できました。
年々の差額キャッシュフローとは別に考えるんですね。
減価償却費はその年々の差額キャッシュフローに計上されてるから、除却分には計上しないってことですよね。
はい、まったくもってそのとおりです!