第152回日商簿記1級・詳細解説【工業簿記】

感想
工原に関しては、毎回、批判的になっちゃうなと反省しながらも書かざるを得ない気持ちです。
今回も現試験委員の特徴が良く出た問題でした。論点自体は2級レベルだけれど、なぞなぞチックなひねりを入れてくる。個別原価計算と総合原価計算を好む。なぞなぞに引っかかると致命傷を食らう。数十年前の過去問からのリバイバル出題を好む。といったところです。あとちょいちょい誤植入れてきます。
とはいえ…文句を言っても始まりません。この先生のクセは明確なので、対応するしかありません。この先生の出題傾向にあわせた対策講義を検討中です。
問題概要
第1問目は、工程別総合原価計算です。基礎の確認には良いと思います。ただし、なぞなぞチックなひねりが入っておりミスをすると被害甚大です。ミスさえしなければ、問1から問3までは容易に解答できます。
一転して、問4の○×問題は、少し難しかったかと思います。誤植もありました。これについては、後述します。
問5は良かったと思います。非累加法。いや、どれだけ端っこの論点出すの?(第65回以来の約30年ぶりの出題)と思ったものの、これ、現場対応力を試された問題とも言えます。つまり、非累加法を正確には知らなくても、その仕組を知っていれば解答できるわけで、その点で地力を試す問題として良かったと思います。
第2問目は、外注加工の問題でした。有償支給は第75回以来26年ぶりの出題です。これまた隅っこの論点来たな、という感じです。ただし、この問題も特に勉強していなくても部分点は得点出来るような配慮があり、その点は良かったと思います。先の非累加法にも通じるのですが、その論点自体を良く知らなくても基礎力があれば現場対応力で得点可能な問題は、地力を試す意味でも良いと思います。(そこまで考えて出題しているかどうかは不明ですが)
第1問 総合原価計算
問1 加工費の予算差異と操業度差異
2級の問5で出てもおかしくない問題でした。シュラッター図で一発です。
第1工程
- 変動費率:30,600,000÷61,200時間=@500円
- 固定費率:122,400,000÷61,200時間=@2,000円
- 月間基準操業度:61,200時間÷12ヶ月=5,100時間
- 予算許容額:@500円×実際5,160時間+@2,000円×基準5,100時間=12,780,000円
- 予算差異:予算許容額12,780,000円−実際発生額12,800,000円=△20,000円(借方差異)
- 操業度差異:(5,160時間−5,100時間)×@2,000円=+120,000円(貸方差異)
第2工程
- 変動費率:47,520,000÷39,600時間=@1,200円
- 固定費率:71,280,000÷39,600時間=@1,800円
- 月間基準操業度:39,600時間÷12ヶ月=3,300時間
- 予算許容額:@1,200円×実際3,293時間+@1,800円×基準3,300時間=9,891,600円
- 予算差異:予算許容額9,891,600円−実際発生額9,895,000円=△3,400円(借方差異)
- 操業度差異:(3,293時間−3,300時間)×@1,800円=△12,600円(借方差異)
第1工程と第2工程の合計
- 予算差異:第1工程△20,000円+第2工程△3,400円=△23,400円(借方差異)
- 操業度差異:第1工程120,000円+第2工程△12,600円=+107,400円(貸方差異)
問2 第1工程完成品総合原価
ノーマルな総合原価計算です。これも2級レベルですが、材料費の予定消費額の計算でやらかすと、問2と問3、問5まで全滅くらいます。さすがに罰が重すぎるかなとは思います。
第1工程生産データの作成
| 月初 (材)100kg (加)50kg |
完成 1,000kg |
| 当月投入 (材)1,050kg (加)1,075kg |
正常仕損(終点発生) 100kg |
| 月末 (材)50kg (加)25kg |
投入費用の計算
材料費
| 月初 300,000円 |
予定消費額(貸借差額) 4,620,000円 |
| 当月仕入 4,515,000円 |
消費価格差異 △55,000円 |
| 月末 250,000円 |
なお、本問の消費価格差異は有利差異(貸方差異)ですから、本来、材料費勘定のボックス図に記入するさいは借方側に書くべきですが、私は、差異は必ずアウトプット側(貸方側)に書くことにしています。そして、有利差異なら△を付すようにしています。なぜなら、月初、当月仕入、当月消費、棚卸減耗、月末、といった各要素の記入場所を決めておくことで、ケアレスミスが減るからです。このあたりの下書きの書き方ルールを確立しておくことも本試験では有用です。
加工費
予定配賦率@2,500円×実際5,160時間=12,900,000円
第1工程完成品原価の計算
正常仕損が終点発生していますので、正常仕損費はすべて完成品が背負うこととなり、非度外視法とはいえ正常仕損費の分離計算は必要ありません。月末仕掛品原価のみを計算して、貸借差額で算定すればおしまいです。
実践的に良くない計算方法は、原価要素(原料費と加工費)ごとにボックスを書いて、完成品原価、正常仕損費、月末仕掛品を算定して集計することです。手数がかかりすぎます。下書き用紙はいっぱいになり、時間はかかり、ケアレスミスをしてしまう可能性も高まります。いいことありません。総合原価計算で計算に時間の掛かる方は、こういう無駄な計算をしていないか検討してみてください。
月末仕掛品原価
4,620,000円÷1,050kg×50kg+12,900,000円÷1,075kg×25kg=520,000円
完成品原価
月初800,000円+当月原料費4,620,000円+当月加工費12,900,000円−月末520,000円=17,800,000円
問3 完成品単位原価の算定
問2と同様ノーマルな総合原価計算です。
第2工程生産データの作成
| 月初 (前)- (加)- |
完成 850kg |
| 当月投入 (前)1,000kg (加)925kg |
正常減損(平均的発生) (材)70kg (加)35kg |
| 月末 (材)80kg (加)40kg |
投入費用の計算
前工程費
問2の結果から17,800,000円
第2工程加工費
@3,000円×実際3,293時間=9,879,000円
完成品単位原価の計算
正常減損が平均的発生しており非度外視法ですから正常減損費を分離計算し、月末仕掛品が負担すべき配賦額を計算します。そのうえで、貸借差額から完成品原価を計算します。先程と同様ですが、原価要素(原料費と加工費)ごとにボックスを書いて、完成品原価、正常減損費、月末仕掛品を算定し、さらに、正常減損費の按分計算を行うといった教科書的な解き方をすると、下書き用紙はいっぱいになり、時間はかかり、ケアレスミスの可能性も高まります。無駄な下書きは書かない、無駄な計算はしない、を意識しましょう。
正常減損費
17,800,000円÷1,000kg×70kg+9,879,000円÷925kg×35kg=1,619,800円
月末仕掛品原価
正常減損費配賦前:17,800,000円÷1,000kg×80kg+9,879,000円÷925kg×40kg=1,851,200円
正常減損費配賦額:1,619,800円÷(850kg+40kg)×40kg=72,800円
正常減損費配賦後:1,851,200円+72,800円=1,924,000円
完成品総合原価と単位原価
完成品総合原価:前工程費17,800,000円+加工費9,879,000円−月末仕掛品1,924,000円=25,755,000円
完成品単位原価:25,755,000円÷850kg=30,300円
問4 ○×問題
① 単価の比較
第1工程完成品単位原価は、正常仕損費をすベて完成品のみが負担するので、先月作業分完成品換算総量当たりの単価が低いことを考慮しても、当月作業分完成品換算総量当たりの単価よりも高い。
ポイントは「完成品換算総量」という用語でしょう。完成品換算量とは違いますからね。要注意です。日商簿記1級の過去問を過去30年分ほど検索したところかつて3回出題(67回、92回、123回)されていました。まあ、レアですね。10年に1度ですから。
この用語、一橋大学系の先生の書いた書籍にしか登場しない用語です。早稲田や神戸大、中央大の先生の著作も調べましたが登場しない用語でした。なので、こういうのを検定試験に出すのもどうかなと思うのですが、まあ、工原の作問者は一橋大学系というのは公然の秘密なのでいいのかな?
ちなみにネットで検索したところYahoo知恵袋の「完成品換算総量とはなんですか」という質問が1件ヒットしただけでした。しかもその回答も間違えたものでした。(Yahoo知恵袋は、かなりの頻度で間違えています)
完成品換算総量とは、原価配分方法が先入先出法なら当月投入部分のことを、平均法なら月初と当月投入をあわせた部分の物量(実存量)もしくは完成品換算量をいいます。
わかりにくければ、アウトプットの月末仕掛品原価の単価を算定するときの分母の数量と言い換えるとわかりやすいかもしれません。本問場合、先入先出法ですので、物量が1,050kg、完成品換算量が1,075kgです。(もし、平均法なら物量が1,150kg、完成品換算量が1,125kgです)
第1工程の完成品換算総量にもとづいた単価は、4,620,000円÷1,050kg+12,900,000円÷1,075kg=@16,400円です。
一方、完成品単価は、17,800,000円÷1,000kg=@17,800円であり、問題文のとおりです。よって○です。
② 固定予算を採用したときの分析
第2工程加工費の予算差異は不利な差異であるが、固定予算を採用していた場合には、有利な差異が発生することになる。
固定予算を使ったときの第2工程の予算許容額は、@3,000円×基準3,300時間=9,900,000円です。実際発生額は9,895,000円で許容額を下回っているので、この文章のとおりです。よって○です。
③ 正常減損費を分離計算するか否かで金額は変わるか
仕損が第1工程終点で発生するので、第1工程の月末仕掛品原価の金額は、正常減損費を分離計算するか否かにかかわらず同じである。
出題者の意図としては、「仕損が終点発生だったらどうせ完成品が全額負担するのだから、分離計算してもしなくても同じだよね」ということを理解しているかどうかを聞きたいのだと思います。事実、私は、その考え方に基づいて計算をしているため、非度外視法と言えども、正常仕損費を分離計算しません。
よって、この文章は○というのが、作問者の意図なのは間違いありません。
ただし、厳密に言うと、齟齬があるのです。正常仕損費の処理には、非度外視法の他に度外視法があります。さらに度外視法にはその計算方法によって3種類あり(細かく分けるともっとある)、中には「仕損の発生点に関わらず、完全に仕損を度外視する」という計算方法があるのです。この計算方法を採用すると、分離計算した場合としない場合では、月末仕掛品原価の金額は変わります。よって、そこまで言及するなら、×です。
さらに、よくよく問題文を読むと「第1工程の正常減損費」と書かれています。第1工程は正常仕損ですから、誤植ですね。ひどいですね。
④ 度外視法と非度外視法の比較
正常減損費は加工進捗度に応じて完成品と月末仕掛品の両者負担となるので、完成品総合原価の金額は、度外視法を用いて計算しても非度外視法と同じになる。
明確に×です。両者負担の場合、度外視法と非度外視法では、当然に完成品総合原価の金額は変わります。細かいことを言うと、度外視法は、正常仕損費を、原料費は物量で、加工費は換算量で按分しているのです。一方、非度外視法は(平均的発生の場合)正常仕損費を、原料費も加工費も換算量で按分しているのです。よって按分方法が異なるので、当然に金額は変わります。
問5 非累加法
非累加法という用語にビビって手が出ないのが一番よくありません。最低でも借方は書けたはずです。貸方は仕方ないかもしれませんが。
非累加法のうち累加法と計算結果が一致する方法というのは、要するに普段やっている累加法とほぼ同じ計算だけど、前工程費みたいに原料費と加工費を累加して計算するのではなく、原料費とか第1工程加工費というふうに原価要素を追いかけていく計算のことなのです。
ちょっと分かりにくいですかね。要するに、原料費とか第1工程加工費だけを考えればいいってことです。具体的な数字を見ていったほうが分かりやすいかもしれません。
① 仕掛品勘定(原料費)
原料を投入するのは第1工程の始点のみですから、借方の当月原料費は4,620,000円です。問2の計算結果を流用しましょう。問題は、貸方の次月繰越です。
第1工程
まず、第1工程の完成品と月末仕掛品に含まれている原料費を計算します。問2の計算結果を流用しましょう。
- 月末仕掛品の原料費:当月4,620,000円÷1,050kg×50kg=220,000円
- 完成品の原料費:月初317,000円+当月4,620,000円−220,000円=4,717,000円
第2工程
続いて、第2工程の月末仕掛品に含まれている原料費を計算します。第1工程の完成品原価に含まれている原料1,000kgが第2工程に振り替えられて、そのうち80kgが第2工程の月末仕掛品に含まれます。また、減損分70kgのうち40/890が月末負担です。
- 正常減損費負担前の月末仕掛品の原料費:4,717,000円÷1,000kg×80kg=377,360円
- 正常減損費に含まれる原料費:4,717,000円÷1,000kg×70kg=330,190円
- 正常減損費に含まれる原料費の月末仕掛品への負担額:330,190円÷(850kg+40kg)×40kg=14,840円
- 正常減損費負担後の月末仕掛品の原料費:377,360円+14,840円=392,200円
工程全体で見た月末仕掛品原価と完成品原価
- 月末仕掛品:第1工程220,000円+第2工程392,200円=612,200円
- 完成品原価:(仕掛品勘定の貸借差額より)4,324,800円
② 仕掛品勘定(第1工程加工費)
考え方は先の原料と全く同じです。借方の当月第1工程加工費は12,900,000円です。問2の計算結果を流用しましょう。問題は、貸方の次月繰越です。
第1工程
まず、第1工程の完成品と月末仕掛品に含まれている第1工程加工費を計算します。問2の計算結果を流用しましょう。
- 月末仕掛品の第1工程加工費:当月12,900,000円÷1,075kg×25kg=300,000円
- 完成品の原料費:月初483,000円+当月12,900,000円−300,000円=13,083,000円
第2工程
続いて、第2工程の月末仕掛品に含まれている第1工程加工費を計算します。第2工程に振り替えられた(第1工程完成品1,000kgに含まれている)第1工程加工費のうち80kgが第2工程の月末仕掛品に含まれます。また、減損分70kgのうち40/890が月末負担です。
- 正常減損費負担前の月末仕掛品の第1工程加工費:13,083,000円÷1,000kg×80kg=1,046,640円
- 正常減損費に含まれる第1工程加工費:13,083,000円÷1,000kg×70kg=915,810円
- 正常減損費に含まれる第1工程加工費の月末仕掛品への負担額:915,810円÷(850kg+40kg)×40kg=41,160円
- 正常減損費負担後の月末仕掛品の第1工程加工費:1,046,640円+41,160円=1,087,800円
工程全体で見た月末仕掛品原価と完成品原価
- 月末仕掛品:第1工程300,000円+第2工程1,087,800円=1,387,800円
- 完成品原価:(仕掛品勘定の貸借差額より)11,995,200円
第2問 外注加工
無償支給(外注加工先A社との取引)
材料無償支給時の外注加工賃の計算は、支給時に仕掛品勘定に振り替えること、納品時に加工費を直接経費処理することが分かっていれば部分点取れます。いずれも2級レベルの知識です。本問は、外注先が仕損をしたときの処理が問われています。仕損分の加工賃は支払いませんが、材料代は、10%以内なら当社負担(=間接経費として処理)である点さえ分かっていれば解けると思われます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 支給時 | 仕掛品 | 1,000,000 | 材料 | 1,000,000 |
| 納品時 | 仕掛品 (直接経費) |
199,600 | 買掛金 | 199,600 |
| 仕損費計上 | 製造間接費 | 2,000 | 仕掛品 | 2,000 |
有償支給(外注加工先B社との取引)
材料有償支給時の外注加工賃の計算は、支給時に材料勘定からB社勘定に振り替えること、納品時に部品倉庫に納品しているので、B社勘定から材料勘定に戻すことがポイントです。そのさい、支給時は有償支給価格@12,000円で算定した価額を計上し(400個なので4,800,000円)、納品時は納入価格@15,000円で算定した価額を計上します。(納品数は397個なので5,955,000円)
本問は、外注先が仕損をしたときの処理が問われています。外注先は、@12,000円で提供した材料を3個仕損しています。これについては、提供数量の10%以内であり当社負担(=間接経費として処理)ですから、B社勘定から当社の間接経費勘定に振り替えます。ただし、有償支給価格@12,000円は交付材料差益@2,000円が乗った価格であり、当社にとっての本当の損失は@10,000円です。よって以下仕損計上時の仕訳になります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 支給時 | B社 | 4,800,000 | 材料 | 4,800,000 |
| 納品時 | 材料 | 5,955,000 | B社 | 5,955,000 |
| 材料 | 800,000 | 交付材料差益 | 800,000 | |
| 交付材料差益 | 794,000 | 材料 | 794,000 | |
| 仕損費計上 | 交付材料差益 | 6,000 | B社 | 36,000 |
| 製造間接費 | 30,000 | |||
| 支払時 | B社 | 1,191,000 | 現金預金 | 1,191,000 |
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商業簿記と会計学への質問のご回答ありがとうございました。
重ねての質問で申し訳ありません。工原の試験中に浮かんでしまった疑問も質問させてください。第二工程の前工程費についてです。
第一工程で終点発生の仕損が起きているため、この仕損費は全て完成品負担というのは分かるのですが、この仕損分含んだ完成品原価全てを第二工程の前工程費として投入されるのがイメージ湧きません。
第一工程の失敗のコストを含んで、第二工程の原料としてしまうのは、第二工程からしたら何かこう気の毒といいますか、第一工程の失敗を肩代わりしているような気がします。(実際原価計算だから仕方ないような気もしますが…)
完成したのは1,000個であるが、この1,000個を作り出すために、1,100個分のコストがかかっているので、第二工程に振り替えるのは以下の式にはならないのでしょうか。
17,800,000×1,000÷1,100=16,181,818…
この完成した分だけにかかった金額(16,181,818)を第2工程の前工程費として投入した方が、より正確な原価計算がなされるような気がしています。
この疑問はどこか根本的に間違っているのでしょうか。
普段練習問題を解いているときは、何とも思わなかったんですけど、試験中に限ってこんな疑問が浮かんでしまいました。本質が分かってない証拠ですよね…
どうぞよろしくお願い致します。
あと、ここのサイトの講師さんも工原の作問(特に外注加工のところ)に対して苦言を呈してらっしゃいますね。
http://kaikei-umi.com/archives/838/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97/%E7%AC%AC152%E5%9B%9E-%E6%97%A5%E5%95%86%EF%BC%91%E7%B4%9A-%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E7%B0%BF%E8%A8%98%E3%83%BB%E5%8E%9F%E4%BE%A1%E8%A8%88%E7%AE%97-%E8%AC%9B%E8%A9%95/
やはり、一橋大学の学者さんたちは癖のある方々なのでしょうか。それとも現試験委員だけ?受験生の立場からすると全く分かりませんが…
>17,800,000×1,000÷1,100=16,181,818…
>この完成した分だけにかかった金額(16,181,818)を第2工程の前工程費として投入した方が、より正確な原価計算がなされるような気がしています。
確かに、第1工程の100kgの仕損が異常仕損であるなら、第1工程完了品原価を1,780万円とするのはおかしいです。それを第2工程の前工程費として振り替えるのもおかしいです。前工程費は、異常仕損費を控除した1,000kg分の完成品原価であるべきです。(この場合の前工程費は、1,780万円÷1,100×1,000≒1,618万円ではなく、 1,616万円になります。計算してみてください)
しかし、本問の第1工程の仕損は正常仕損です。これは、それくらいの仕損は起きても仕方がなく原価性があるという意味です。正確な製品原価という意味では、正常仕損費を含めた製品原価がより正確であり、第2工程に振り替えるべき価額です。よって、本問の解答の計算方法が正しいわけです。
———
ちょっと余談ですが、責任会計の話と製品原価計算の話は、分けて考えるといいです。
責任会計をしたいのであれば標準原価計算を使えばいいのです。この場合、第1工程における正常仕損費を決めて原価標準にあらかじめ組み入れておきます。すると、第1工程で仕損が発生した場合でも、第2工程には原価標準にもとづいた単価で振り替えられますから、第2工程には第1工程のミスは混入しません。つまり、どの工程にどれだけの責任があるのかが明確になります。
ただ、実務的には、標準原価計算の導入は大変です。そこまでしなくとも(つまり標準原価計算を採用しなくとも)第1工程から第2工程に振り替えるさい、予定振替価格を設定するという方法もあります。これでも各工程が負担すべき仕損費の計算が可能です。
———
本問は、責任会計は問われていません。最終製品がいくらか?それが知りたいだけです。で、第1工程で100kg仕損が起きるのは、許容されており(正常仕損)それを込みにした製品原価を計算したいのです。よって、解答のような計算になります。
———
>やはり、一橋大学の学者さんたちは癖のある方々なのでしょうか。それとも現試験委員だけ?受験生の立場からすると全く分かりませんが…
この先生だけだと思います。134回の常備材料のときから、もう、ずっとです。3回、4回、もっとかな。齟齬たくさんあります。残念です。
ご回答いただきましてありがとうございます。
責任会計のお話とあわせてよく理解できました。
”正常”だということが抜けていました。
通常起こり得る仕損なのに、この分だけを除いて前工程費として投入するのはやはりおかしなことですね…
なるほど。予定振替価格を使う場合があるのですね。振替差異という言葉を見たことがあるのですが、先生のご説明からこの意味が分かった気がします。
毎回工原のひねったところで躓いてしまいます、同対応すればよろしいでしょうか?
逆質問になって申し訳ないのですが、はーるさん、どのような回答を期待されていますか?
はーるさんの実力が不明です。苦手論点も不明です。躓きポイントも不明です。
そんな中、何かを回答させてもらったところで、多分、そんな回答は役に立たないんじゃないかな、と思うところです。
私の場合としましては、今回の回が3回目の受験でして、専門学校の模試では毎回80点は超えるのですが、過去問、本試験では工原のみ、捻りの部分に躓いて(今回では工業簿記)10点程度の点数になってしまいます。
なぜ、つまずいてしまったのか、その原因を探ることが大事だと思います。
問題文の読み抜けがあったのか、問題文の意味を正確に読み取れなかったのか、そもそも知らない論点だったのか、分かっていたけど何かケアレスミスをしたのか。状況分析が必要でしょう。また、それはいつもなのか、たまたまなのか、・・・。そういった点を分析して対応策を考えるしかないと思います。
専門学校の模試で毎回80点を超えているのに、本試験で対応できないということですね。
その専門学校の模試が簡単すぎるのか、はたまた、いつもパターン化された問題ばかりで、一度解き方を覚えてしまうとパターンで解けるような問題なのか。こちらでは理由は分かりません。ただ、いずれにしても何かしらの理由があるのではないでしょうか。これは、その専門学校の先生に聞くのがもっとも良いでしょう。的を射た回答が得られると思いますよ。
こんにちは。
こちらの解説、大変ありがたく読ませて頂きました。
1つ質問なのですが、
第2問でB社に材料を有償支給しているところで、
手元のテキストを見ると「有償支給の場合は部品原価処理」と書いてあるのですが、
この問題ではB社から戻ってきた塗装済み材料を
部品勘定ではなく、材料勘定で受け入れています。
「部品原価処理」であっても、必ずしも部品勘定で受け入れるとは限らないのでしょうか?
恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
遅くなってごめんなさい。
>「部品原価処理」であっても、必ずしも部品勘定で受け入れるとは限らないのでしょうか?
うーん、これは答えにくい。
結論から言えば、そのとおりです。
適切な費用処理を行って適切な製品原価が算定できれば、別にどう会計処理しようと構いません、ということです。
では、なぜ、スクールの1級テキストには「有償支給の場合は部品原価処理」と書かれているのか?
どちらのテキストをお使いなのか分からないのですが、1級工原テキストはどれもだいたい岡本清先生の著作である「原価計算」をソースにして書かれているのですね。まあ、ほぼそのまんまという引用のレベルを超えたテキストもあれば、かなり噛み砕いて書かれたテキストもありますが、いずれにしても、岡本先生の著作がソースです。
で、こちらの本に外注加工における有償支給の場合の処理が載っているのですが、そこでは、納品されたものは部品として処理するというケースが例示として載っているのですね。
で、スクールのテキストはこちらの本に右にならえで書かれているのでそうなってしまうのです。
ただ、岡本先生の本にすべてのパターンが書かれているわけではありません。いくつも会計処理方法があるうちのあくまでも一例が載っているのです。ですので、冒頭に書いたように、費用処理と製品原価の計算が適切に行えるなら、別にどう会計処理しても構わないのです。
本問は、答案用紙から「部品」という勘定が出てこないことが分かります。特に材料勘定の借方と貸方の両方に「B社」という人名勘定と、「交付材料差益」という勘定があることから、上記のような仕訳をせざるを得ません。
しかし、まあ、あまり一般的な処理ではないと思います。
ご返信いただき誠にありがとうございます。
>適切な費用処理を行って適切な製品原価が算定できれば、別にどう会計処理しようと構いません、ということです。
>岡本先生の本にすべてのパターンが書かれているわけではありません。いくつも会計処理方法があるうちのあくまでも一例が載っているのです。
こちの内容ですが、とても納得いたしました(ちなみに私が参照したテキストは「スッキリわかる」です)。
あくまでも「一般的には部品として処理する」ものの、それが絶対のルールではない以上、出題内容に併せて柔軟に対応すべき、ということでは理解しました。
ありがとうございました。