訳の分からない売価還元法の意味が分かるようになる話

1級の難関論点の1つ売価還元法
売価還元法。難関論点の1つだ。まず、計算手順が複雑で覚えにくい。そして、売価還元法の他に低価法があったり、さらに商品評価損を計上したりしなかったり、いくつも計算方法があって、微妙に異なるから、覚えにくいのだ。
さらに、言葉も分かりにくい。原始値入額、値下げ、値上げなど、それだけでも分かりにくいのに、それに加えて、仕入戻し、仕入値引・割戻、仕入割引、売上戻り、売上値引・割戻、売上割引、などが入ってくると、もう何がなんだか分からない。いったいどれを反映させてどれを無視すればいいのか。
勉強した直後は覚えていても、しばらくするとさっぱり忘れてしまう論点ベスト3くらいには入っているだろう。
まあ、少し勉強した人なら、仕入割引と売上割引は、事実上、利息と同じで、営業外の取引だから売価還元法の計算上は除外する、というのはピンとくるだろう。しかし、仕入値引・割戻は、計算上考慮するのに、売上値引・割戻は考慮しない、というのは、もう何が何だか、という感じじゃなかろうか。
今日は、このあたりをひもといてみたい。
なお、申し訳ないが、まだ売価還元法の勉強をしていない方にとって、本記事は、少し難しい内容であることをご承知おき頂きたい。本記事は、売価還元法についてテキストレベルの理解が済んでいることを前提としている。
売価還元法の設例
まずは、例題をやっていこう。次の資料にもとづいて、損益計算書を作成してほしい。(結構、計算量のある問題なので、しっかり紙と鉛筆と電卓を用意してやってほしい)
【資料1】
| 決算整理前残高試算表 | |||
|---|---|---|---|
| 繰越商品 | 284,800 | 売上 | 1,280,000 |
| 仕入 | 820,000 | 仕入戻し | 16,000 |
| 売上戻り | 18,000 | 仕入値引・割戻 | 13,600 |
| 売上値引・割戻 | 14,000 | 仕入割引 | 13,000 |
| 売上割引 | 18,600 | ||
【資料2】
- 期末商品の評価は売価還元低価法を採用している。なお、商品評価損を計上し、売上原価の内訳とする。また、棚卸減耗損は、販管費に表示する。
- 商品の売価に関連する情報は以下のとおりである。
| 期首商品売価 | 329,600 |
| 原始値入額 | 460,000 |
| 期中値上額 | 107,800 |
| 期中値上取消額 | 7,800 |
| 期中値下額 | 160,000 |
| 期中値下取消額 | 16,000 |
| 期末商品実地売価 | 270,000 |
解答
| Ⅰ 売上高 | 1,248,000 | |
| Ⅱ 売上原価 | ||
| 1.期首商品棚卸高 | 284,800 | |
| 2.当期商品仕入 | 790,400 | |
| 合計 | 1,075,200 | |
| 3.期末商品棚卸高 | 191,800 | |
| 差引 | 883,400 | |
| 4.商品評価損 | 16,200 | 899,600 |
| 売上総利益 | 348,400 | |
| Ⅲ 販管費 | ||
| 1.棚卸減耗損 | 2,800 | |
| 営業利益 | 345,600 | |
| Ⅳ 営業外収益 | ||
| 1.仕入割引 | 13,000 | |
| Ⅴ 営業外費用 | ||
| 1.売上割引 | 18,600 | |
| 経常利益 | 340,000 |
テキストや問題集にある通り一遍の解説
Step.1
売価還元法にはいくつか種類があるが、本問は、商品評価損の算出を要求されているので、低価法原価率を求めるタイプであることがわかる。
Step.2
以下のようなボックス図を作成し、①から番号順に計算し、数値を埋めていく。
| ②③売価 | ④原価 | 売価 | |||
| 期首 329,600円 |
期首 284,800円 |
⑭売上原価 883,400円 |
⑦売上高 1,262,000円 |
||
| 仕入 790,400円 値入 460,000円 値上 100,000円 値下 −144,000円 |
①当期仕入 790,400円 |
||||
| ⑩帳簿原価 191,800円 ⑪実地原価 172,800円 |
⑧帳簿売上 274,000円 ⑨実地売上 270,000円 |
||||
①当期仕入:仕入820,000円−仕入戻し16,000円−仕入値引・割戻13,600円=790,400円
②売価合計(値下考慮):329,600円+790,400円+460,000円+100,000円−144,000円=1,536,000円
③売価合計(値下考慮なし):329,600円+790,400円+460,000円+100,000円=1,680,000円
④原価合計:284,800円+①790,400円=1,075,200円
⑤原価法原価率:④1,075,200円÷②1,536,000円=70%
⑥低価法原価率:④1,075,200円÷③1,680,000円=64%
⑦売上高:売上1,280,000円−売上戻り18,000円=1,262,000円
⑧帳簿売上:②1,536,000円−⑦1,262,000円=274,000円
⑨実地売上:問題文より270,000円
⑩帳簿原価:⑧274,000円×⑤70%=191,800円
⑪実地原価:⑨270,000円×⑥64%=172,800円
⑫商品評価損:⑨270,000円×(⑤70%−⑥64%)=16,200円
⑬棚卸減耗損:⑩191,800円−⑪172,800円−⑫16,200円=2,800円
⑭売上原価:284,800円+①790,400円−⑩191,800円=883,400円
Step.3 損益計算書の作成
- 売上高は、上記1,262,000円から売上値引・割戻14,000円を控除して、1,248,000円。
- 売上原価の期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高は、上記ボックス図より転記する。
- ⑫商品評価損16,200円は、問題文より売上原価の内訳項目とし、⑬棚卸減耗損2,800円は、販管費に表示する。
- 売上割引と仕入割引は営業外の項目なので、売上原価や販管費に含めない点に注意。
ここからが解説の本番
さて、どうだろう。上記の解説で納得できただろうか。「納得も何も、テキストにそうやれ、と書いてあるのでしょがない」という感じの人も多いだろう。しかし、これ、訳分からない、という感じはしないだろうか。
まず、上記ボックス図を作成するにあたり、何を無視して、何を考慮しているか一覧にすると次のようになる。◯は計算上考慮していて、×は無視している。(ただし、×といっても最終的な損益計算書作成時は考慮している)
| 仕入値引・割戻 | ○ |
| 仕入戻し | ○ |
| 仕入割引 | × |
| 売上値引・割戻 | × |
| 売上戻り | ○ |
| 売上割引 | × |
仕入割引と売上割引を無視するのは比較的理解しやすいだろう。これは、事実上、利息であり営業取引ではないから、無視する。売価還元法の計算上は考慮しない。
問題は、①の仕入高を計算するにあたり、仕入戻しと仕入値引・割戻は考慮するのに⑦売上高の計算において、売上値引・割戻は無視している点だ。はぁ?と思わないだろうか。
このあたり、腹落ちしていないと、本試験で少しひねられただけでお手上げになってしまう。単に「そういうものだ」と暗記しているなら、いま、ここで理解してしまおう。
そもそも、値入、値上・値下、割引、返品、値引、割戻の違いを分かっているか
さっきも書いたけど、◯◯割引は、事実上、利息だから除外しよう。それ以外のものについて説明する。なお、便宜上、販売時を前提とした解説とする。
まず、値引きと割戻しの相違点についてだ。これらは、いずれも、いったんは販売したものの、その後、何かしらの理由で返金したという会計処理だ。一般に値引きは、キズや汚れがあったため、割戻しはたくさん買ってくれたから、という理由だ。いずれにしても理由が異なるだけで、会計処理は同じだ。つまり、売価還元法においては同じ扱いで構わない。
似ていながら異なるのが、返品だ。これは、値引きや割戻しと同様、返金もするけれど、商品も返ってくる、という点が決定的に異なる。つまり、その取引自体が無かったと考えればいいわけだ。なお、返品は、販売時は「売上戻り」仕入れ時は「仕入戻し」と若干表現が異なる。注意してほしい。
最後に、値引き・割戻しと、値入れ、値上げ・値下げとの違いを考えてみよう。これ、とても大切な概念だ。値入れ、値上げ、値下げは、販売する前に「これくらいの値付けなら売れそうかな」とか「これ売れないからもっと下げないとな」といった感じで、販売する前に値段を動かしているのだ。
これに対して、値引きも割戻も、販売したあとに、当初想定していなかった理由で値段を動かしているのだ。この違いは大きい。上記をまとめると次のようになる。
| お金 | 品物 | いつ? | 理由 | |
| 仕入値引 | 返ってくる | 返さない | 仕入後 | 汚れなど |
| 仕入割戻 | 返ってくる | 返さない | 仕入後 | たくさん買ったから |
| 仕入戻し | 返ってくる | 返す | 仕入後 | 返品 |
| 仕入割引 | 返ってくる | 返さない | 仕入後 | 早く払ったから |
| 売上値引 | 返す | 返ってこない | 販売後 | 汚れなど |
| 売上割戻 | 返す | 返ってこない | 販売後 | たくさん買ってもらったから |
| 売上戻り | 返す | 返ってくる | 販売後 | 返品 |
| 売上割引 | 返す | 返ってこない | 販売後 | 早く払ってもらったから |
| 値下げ | 販売前の話であり、お金も品物も動いていない | |||
店主の気持ちで順を追って考えよう
店主になった気持ちで考えてみよう。
とりあえず、商品を100万円仕入れた。しかし、よくよく考えたら、こんなに仕入れても売れそうにない。30万円分返品しよう。さらによくよく見たら、汚れがある商品があった。その分の10万円の値引きを要求しよう。結果、仕入高は60万円だ。さて、いくらなら売れるかなぁ。目の前の商品をじっと品定めする。うん、仕入れ値の倍で売れそうだ。想定売上高は120万円だな。(つまり値入額は60万円であり、60万円の原価のものを120万円で販売するのだから原価率は50%と設定した)
さて、今日から販売だ。順調だ。今日は40万円の売上だった。この調子なら、明日も順調そうだ。ところが、お客様から返品の電話があった。10万円分返品したいとのこと。
しょうがないので受け入れた。商品を返してもらって、10万円返金した。結果、今日は、30万円の売上となり、商品は全体の四分の三(売価で90万円分)の在庫が残っていることになる。
さて、翌日。この日は30万円分売れた。昨日とあわせて60万円の売上だ。トータルで全体の半分売れたことになる。さて、ここで、別のお客様からクレームが来た。商品にキズがあったとのこと。お詫びとして10万円値引きした。結局、売上高は50万円になってしまった。
さて、ここで、問題だ。
明日、商品の残り全てが売れるとして、あといくらの売上が期待できるだろうか。全商品の想定売上高は120万円だ。そして、今日現在の売上高は50万円だ。では、残りは120万円−50万円=70万円だろうか?
おかしいよね。その計算じゃ。だって、商品は残り半分しかないんだもん。全部売れて120万円なら、半分で60万円だ。だから、明日、残り全て売れるとしても60万円の売上しか見込めない。70万円のはずがない。
つまり、今日現在で50万円しか売上が無いのは、当初予測もしなかった「値引き」を10万円行ったからだ。これを計算上、考慮に入れると、在庫の予想販売金額が狂ってしまうのだ。だから、売上値引・割戻は、計算上、考慮してはいけないのだ。
まとめてみよう。
原価率を決めるのは、仕入に関するすべての取引が終わったあとだ。つまり仕入値引・割戻、返品(仕入戻し)が終わったあとに、値入をして原価率を決めている。(本例では原価率を50%に設定した)
だから、仕入値引・割戻、返品(仕入戻し)は、すべて計算上、考慮しなければいけない。
そして、売上についても返品(売上戻り)は、考慮しなければいけない。これは、お金も返すけど、商品も返ってくるからだ。つまり、その取引自体、何もしていないのと同じことなのだ。だから、返品分(売上戻り)の売上は、もとから無かったものとして扱えばいい。
しかし、売上値引・割戻は、さきにも書いたとおり、原価率を算定した時点では、予測していない出来事であり、これを考慮してしまうと、在庫の予想販売金額が狂ってしまうのだ。だから、売上値引・割戻だけは、考慮してはいけないのだ。
どうだろう。理解出来ただろうか。
意味が分かれば応用も効く
ちょっと応用例を考えてみよう。138回の日商簿記1級からの出題だ。これは難しいと思う。手持ちで過去問を持っている人は確認してほしい。
棚卸資産の評価方法は,売価還元法(正味値下げ額を除外して原価率を算定する方法)を適用している。期首商品棚卸高(売価)58,000千円,期中の原始値入額88,200千円,正味値上げ額25,200千円,正味値下げ額30,000千円,期末商品帳簿棚卸高(各自推定),期末商品実地棚卸高(売価)43,500千円である。なお,正味値下げ額は売価合計額に適切に反映されている。また,期中に掛けによる売上戻り15,000千円および仕入戻し12,000千円(売価は17,400千円)があり,これについては処理済である。なお、決算整理前残高試算表における繰越商品は40,000千円、仕入は184,000千円、売上高は275,000千円である。
これ、何が難しいかといえば、「期中に掛けによる売上戻り15,000千円および仕入戻し12,000千円(売価は17,400千円)があり,これについては処理済である」をどう読み取るかだ。
さきにも書いたとおり、返品は、売上戻りにしても仕入戻しにしても考慮しなければいけない。本問は、すでに期中に処理済みである、と書かれているので、基本的にこの部分はダミーなんだろうと思って計算した。ところが原価率が割り切れない。それにも関わらず、端数処理についての指示がない。おかしいなぁと思った。
それで、しばらく考えて、もしかしたら、こういうことか?と仮定してみた。
これは、きっと返品(仕入戻し)をする前の時点で、値入額88,200千円を決めてしまっていたのだろう。で、そのあとに原価12,000千円分の商品を返品した。この商品12,000千円は17,400千円で売れたはずなので5,400千円の利益が見込めたはずだ。これを考慮して値入額88,200千円を決めたのだ。しかし、そのあとこれを返品した。それなら、この利益分、値入額も下げないといけない。だけど、きっと、それだけやり忘れたのだろう。つまり、帳簿上、仕入戻しの仕訳は切ったのだけど、値入額88,200千円の計算のやりなおしを忘れている、という設定なんじゃなかろうかと。そう仮定したのだ。それで計算したら、きれいに割り切れた。これだ。
しかし、これは、ちょっと問題がひどいと思う。「仕入戻し12,000千円(売価は17,400千円)があり,これについては処理済である。」と書かれているだけで、どこまでの処理をしているのかさっぱり分からない。普通、仕入戻しをしたなら、値入額も修正するのが普通だ。それだけ忘れてますよ、と、どうやって気付けというのか。
とまあ、ちょっと、不満もあるものの、出題意図としては、そういうことなのだろう。しかし、T社とN社の過去問題集を確認したが、このあたりの解説は、ほぼ、スルーだ。一応、N社の解説には「引く必要がある」と書かれているが「なぜ、引く必要があるのか」が書かれていない。結論ありき?とすら思ってしまう。T社に至っては、全く触れられていない。どういうことなのか。
まあ、最後はちょっと愚痴も入ったけど、とにかく上記の理屈と「値入、値上・値下、割引、返品、値引、割戻」の意味をしっかり理解した上で、売価還元法をおさえれば、本試験でどうひねられても、まあ、得点できるはずだ。得意論点にしてほしい。
“訳の分からない売価還元法の意味が分かるようになる話” に対して31件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。

この138回の問題ができず(原価率が割り切れずに)焦ってしまい、悔しかったことを思い出しました。
でも、結局は値入れのことがよく分かっていなかったのが敗因だったなと反省しています。
138回のこの売価還元法の問題は捨て問ですね。緊張を強いられる本試験の限られた時間の中で、このヒネリに気付くことは、相当困難だと思いますよ。私だったら、一応、定型的に計算してみて、割り切れない瞬間に「ああ、これは捨て問だ」と捨てると思います。138回、ざっとやってみましたけどリースも難しいですね。これも捨て問かな。でも、他は比較的普通の問題なので、捨て問にこだわらなければ合格点は取れる問題だと思います。
こんにちは。
上記問題をやってみました。
私は最初T社のスッキリで勉強を始め、1級で初めて勉強する項目が売価還元法で、必死に完全丸暗記したので、大丈夫!って、思っていました。
が、やっぱり部分的に忘れていました。そこで丸暗記の問題点を分析してみました。
1.上記で先生が解説されているように、売上・仕入の戻り・値引き等がどういうものなのかを理解していない。
2.決算前T/Bの見方を忘れた(というか、T/B自体をちゃんと理解していないのが原因)。
ここに売上・仕入の戻り・値引き等がある場合、これらは売上・仕入から控除されているんだったかなと迷う。(そこかい!と先生に突っ込まれそう・・・。ネタにしてください。)
で、割り切れなくて思い出す。でも、時間をロスするし、間違った計算で割り切れてしまったらそのまま間違える。
3.棚卸減耗費の計算でどっちの原価率を掛けるのかで迷う。(これもネタになりそうですね)
4.出題パターンで暗記しているので、138回みたいに、覚えたパターン以外がでると完全にアウト。
といった感じです。今までは、問題を解いて間違えた場合、解説を見て『ただ忘れただけ。ノートを作って直前に覚えなおせばいい』というやり方をしていました。当然、点数は伸びません。
でも、先生のお陰で、どこを理解していないのか、何がいけないのかを考えるようになりました。
丸暗記はただただ苦痛で、勉強が楽しいなんて理解できないと思っていましたが、理解してくると、徐々にですが、楽しくなってきました。
これからも、宜しくお願いします。
きゃろるさんへ
これはありがたい。ネタの宝庫だ。そうなんですよね。ちょっと言葉は悪いですが、点数取れない人の特徴をうまく捉えていますよね。
>必死に完全丸暗記したので、大丈夫!って、思っていました。
いや、丸暗記って…ひねられたらどうするの?という感じです。
>決算前T/Bの見方を忘れた(というか、T/B自体をちゃんと理解していないのが原因)。ここに売上・仕入の戻り・値引き等がある場合、これらは売上・仕入から控除されているんだったかなと迷う。
ああ、これは、アシスタントの弟子1号くんに教えているときにも思いました。これって出来る人にとっては当たり前すぎて説明を省略しちゃうところなんですよね。これは、別途記事にした方がいいな、と思いました。ネタありがとうございます。
>棚卸減耗費の計算でどっちの原価率を掛けるのかで迷う。(これもネタになりそうですね)
ああ、そうか。これ経験者コースでやった差異分析の時短テクが丸々使えるんですよ。講座中に言いませんでしたっけ?「この時短テクは工簿でも原計でも商会でも使えるよ」と。だから迷うことは無いんです。これも記事に出来そうですね。
>丸暗記はただただ苦痛で、勉強が楽しいなんて理解できないと思っていましたが、理解してくると、徐々にですが、楽しくなってきました。
理解した論点って、実務でも使えるシーンが出てくるんですよ。するとさらに楽しくなりますよ。ちなみに暗記で乗り切った論点は、たいてい実務で使い物になりません。
今まで売価還元法はテキスト通りのパターンでしか解いていませんでしたが、EXERCISEではなんとなく解答できていました。でも、138回の過去問の解説の意味がわからず「?」マークしていました。
先生の解説でようやく意味がわかりました。
「値入・値上げ・値下げ」が販売前の値段を動かしてるということも初めて理解できましたし、
設例の左側の②③売価合計(これは売る前のこの商品すべての値段)から⑦売上(実際の売上)を引いて⑧帳簿売上(売れ残り分)を算出するという流れで理解しましたが、よろしいでしょうか?
これを理解しておらずパターンで計算していました。
意味がわからないと過去問レベルは解けないですね・・・
解説ありがとうございました。
実は、ブログを運営してみて初めて分かったことなんですが、アクセス解析といって、どの記事がどれくらい読まれているか分かるんですね。
で、この売価還元法の記事、書いた当初は、「マイナーな論点だからあまり人気無いかもな」と思ったのですが、予想に反して結構人気があるのです。
多分、みなさん、計算方法は覚えているんだけど、実はどうして、そうやるのか分かっていなくて、138回みたいにヒネられるとお手上げ、ということなんだと思います。で、こういう解説記事が結構読まれるのかなぁと。
特に商品売買系はそういう傾向があると思います。きゃろるさんのコメントにもありましたように、そもそもT/Bの数字が何を意味しているのか自体をきちんと分かっていない。
このあたりの記事は求められているんだろうなぁと思って、只今準備中です!乞うご期待を。
基本的なことかもしれないのですが、売上割引と仕入割引について
「事実上の利息」とはどういうことなのでしょうか?
機械的に、営業外収益と営業外費用に計上すると覚えていたので
いまいちイメージできていません。。
ひろりんさん、コメントありがとうございます。
良い質問だと思いましたので、記事にしました。御覧ください。
https://pro-boki.net/column-18
こんにちは。
売価還元法で原則処理のところからいまいちわからず、個々の言葉の意味は理解できるのになぜ全体としてわからないのか考えたところ、わかる人にとっては当たり前かもしれないことがわかっていないことに気づきました。値入れ、値上げ、値下げは「簿記上の取引」ではないということです。売価は動いていても、あくまで売る前にうごしかしているだけです。それがわかったら途端に理解しやすくなりました。
>値入れ、値上げ、値下げは「簿記上の取引」ではないということです。
素晴らしい。そのとおりです。
値入れ、値上げ、値下げは、商品売買を行う前に、これくらいにしたら売れるだろうという、経営側だけで行っている処理ですね。
それに対して、値引き、割戻、割引は、相手があって始めて成立する処理ですね。ですから会計における取引であり、会計処理が必要なのです。
こんにちは。
先日売価還元法の問題を解いていたところ分母(売価)の計算において仕入戻し・仕入値引き・仕入割戻を控除しないというものがありました。以下解答に記述されていた解説です。
『分子の原価ベースの「当期受け入原価総額」は仕入戻し・仕入値引き・仕入割戻を控除した純仕入高となる。ただし仕入戻し・仕入値引き・仕入割戻は企業の売価決定とは無関係に取引先との関係で控除されるものであるから分母の売価ベースの「当期受入原価総額」の計算では控除されない。つまり総仕入高が利用される。』
このような解説を見たのは初めてで困惑しております。
私は当ブログにあるように『原価率を決めるのは、仕入に関するすべての取引が終わったあとだ。つまり仕入値引・割戻、返品(仕入戻し)が終わったあとに、値入をして原価率を決めている。だから、仕入値引・割戻、返品(仕入戻し)は、すべて計算上、考慮しなければいけない。』と理解しておりました。
売価還元法の原価率の計算においてこのように仕入戻し・仕入値引き・仕入割戻を控除しないケースというのはあるのでしょうか?
ぼきろんさん、こんにちは。
売価還元法は、会計基準では「企業会計基準第 9 号棚卸資産の評価に関する会計基準 」で規定されており、P20に原価率算定の式が載っています。
(連続意見書 第四に定める売価還元平均原価法の原価率)
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/tanaoroshi.pdf
この式を見る限りでは、分母と分子に使われている当期受入原価総額は同じ意味合いを持つものと思われます。
正直、分子の原価の計算では仕入戻しを反映するけど、分母の計算では反映しないなど、意味がよく分かりません。理論的整合性も乏しいと思います。
ただし、この私の回答は、ご提示頂いた断片的な情報にもとづくものです。何かしら、その問題特有の前提となる条件があるのなら、また話は違うのかもしれません。
なお、実務での売価還元法と簿記学習上の売価還元法は異なります。
実務では「税法基準に基づく売価還元法」といって、分母の売上の算定を払い出し価格(アウトプット)をベースに計算します。つまり、当期の実際の売上高に加えて、期末在庫の通常販売価額にもとづいて算定するのです。多分、実務では、こちらがメインだと思います。こちらの方が現実的に計算が簡単です(当期売上高はレジで一発で判明しますので。)
一方、ご承知のとおり、簿記学習上では、上記にも記載したとおり連続意見書第四で規定されている方法が用いられています。つまり、売上高はインプットベースで計算します。
日商簿記では、連続意見書方式しか出題されませんが、税理士試験だと税法方式も出るかもしれません。このあたり税理士試験の状況は申し訳ないのですが知りません。
「ぼきろん」さんというハンドルネームからもしかすると税理士試験でしょうか。そうだとすると前提条件が異なるのかもしれません。
pro-boki 様。
早速のご回答ありがとうございます。
断片的な情報のみでの質問で失礼いたしました。
問題は少し前の税理士試験簿記論に対応した問題です。(会計人コース2015年臨時増刊7月号 でる順予想号)
売価還元法に関する特段の前提条件はなく以下の会計数値が与えられていました。
前T/B
(借方)繰越商品、仕入、売上戻り・値引・割戻・割引
(貸方)売上、仕入戻し・値引・割戻・割引
期首商品売価、原始値入額、値上額、値下額、期末商品実地棚卸売価
棚卸減耗費と商品評価損の取り扱いは通常の先入先出法等の原価配分法を適用した場合に準ずるものとする。
解答要求は売価還元法と売価還元低価法のP/L作成(会計数値の穴埋め)というものでした。
出題の趣旨はおそらく、P/Lに表示される売上、仕入数値と原価率算定または期末商品棚卸帳簿売価の算定に用いる売上、仕入の数値が異なること。売価還元低価法による商品評価損の算出をテーマにしたものと思われます。
アウトプット方式の売価還元法があることも理解しておりますがこの問題はインプット方式を前提にしたものと思います。pro-boki 様のおっしゃる通り税理士試験特有の前提条件のようなものがあるのかもしれません。色々調べて見たいと思います。
迅速にご回答していただいたことに心から感謝いたします。
ありがとうございました。
分かりやすい!すごく納得しました。
同時に自分が無理やり納得したうえで忘れ去っていたことも思い出しました。
ありがとうございます。
分かりやすい。とても参考になります。
よかったです。
前T/Bの売上の金額は、売上値引割戻・売上戻りの期中仕分が反映されてないのですか?
七分法によって記帳しています。
そういう意味ではなくてですか?
いつも分かりやすいご説明ありがとうございます。
売価還元法は、計算方法は覚えたので典型問題は解けますが、意味が分からない点が多々あります。
【質問1】
まず、売価の変動データが、どういう場面を想定しているのか、イメージがつかめません。例えば
当期仕入高 10,000・・・①
原始値入額 4,000・・・②
値 上 額 1,000・・・③
とある場合、②は、例えば①で1個1,000円の商品を10個仕入れたとき、1個当たりの売価を1,400円にするという理解でいいでしょうか。
ただ、③が想定している場面が、よくわかりません。
まず、②と③の間に、タイムラグがあることは想定しているのでしょうか。
タイムラグがある場合、その間に商品が売れることがあると思うのですが、例えば2個売れた場合、残り8個について、1個当たりの売価を125円値上げするという意味なのでしょうか?
【質問2】
値上取消額と値下額、また、値下取消額と値上額とは、実質的に何が違うのでしょうか。
特に、売価還元低価法で低価法原価率を計算する場合に、どの値を用いるかが変わってくるので・・・。
【質問3】
売価還元低価法の商品評価損の計算方法の意味がよく分かりません。
何となく、売価が一旦ピークに達した後の値下額を商品評価損と捉えているのかなあ、という漠然としたイメージはあるのですが(そもそもこの理解が違っていたら指摘して下さい。)。
ただ、通常、商品評価損というと、正味売却価額が「仕入値」を下回った場合の差額というイメージがあるので、売価ピーク時の額と比較したものを商品評価損ととらえる理由が分かりません。
売価還元低価法の場合はそういうものだ、と思えばいいのでしょうか。
【質問4】
売価還元低価法で、商品評価損を計上する方法と計上しない方法があり、計算方法は暗記していますが、結局、両者の違い(意味)は何なんでしょうか。
「こういうものだから覚えろ。」と言われれば、覚えるしかないのですが・・・。
分からないことばかりですみません。
質問自体に意味がなければ、スルーして下さい。
よろしくお願いいたします。
【質問1】
>とある場合、②は、例えば①で1個1,000円の商品を10個仕入れたとき、1個当たりの売価を1,400円にするという理解でいいでしょうか。
原則としてはそのとおりです。しかしそれ以外も考えられます。
例えば、今月は@1,600円×5個で、来月は@1,200円×5個を予定しているのかもしれません。
>まず、②と③の間に、タイムラグがあることは想定しているのでしょうか。
タイムラグのある無しは関係ないです。
結果的に販売前に値上げしたなら、それを算入するだけです。
>タイムラグがある場合、その間に商品が売れることがあると思うのですが、例えば2個売れた場合、残り8個について、1個当たりの売価を125円値上げするという意味なのでしょうか?
そのとおりです。
【質問2】
>値上取消額と値下額、また、値下取消額と値上額とは、実質的に何が違うのでしょうか。
実質的には同じです。
>特に、売価還元低価法で低価法原価率を計算する場合に、どの値を用いるかが変わってくるので・・・。
低価法原価率を算定するさいの正味値下額(=値下額−値下取消額)の除外については、理論的整合性のある処理ではありません。実務的に簡便でかつそこそこ近似する方法として考えられた処理です。よって、ここだけは、会計学者が恣意的に決めたルールですから覚えるしかありません。
【質問3】
>売価還元低価法の商品評価損の計算方法の意味がよく分かりません。
>何となく、売価が一旦ピークに達した後の値下額を商品評価損と捉えているのかなあ、という漠然としたイメージはあるのですが
そういう意味ではないのです。さきに書いたとおり低価法原価率にもとづく商品低下損に理論的な意味はありませんから、それを追求しても訳が分からなくなるばかりだと思います。なぜ、正味値下額を排除した計算が、近似するのかは、ある程度説明可能ですがここでは割愛します。
【質問4】
>「こういうものだから覚えろ。」と言われれば、覚えるしかないのですが・・・。
はい、そういうものだから覚えましょう。
さて、来週から、新学期がスタートし週6本のライブ講義が10月下旬まで続きます。物理的な時間がありません。
そのためこちらのブログからしばらく離れます。
なるべく時間を見つけて記事はアップしたいと思っていますが、個別質問対応までは手がまわらないと思います。その点ご理解いただけると幸いです。
独学者さん、質問のクオリティいいですね。いいところに目を付けてますよ!がんばってください。11月の試験、良い報告お待ちしています!
迅速なご回答ありがとうございます。
独学だと、理解が足りないのか、割り切って覚えればいいのか区別がつかないので、大変助かります。
先生にそのようにおっしゃって頂けると励みになります!
先日2級を受けたばかりで、2級であればもうすぐ合格のご報告ができそうなのですが(笑)。
11月目指して頑張ります!
わかりやすい説明ありがとうございます。
初歩的なところで申し訳ございません。
売価還元法の原価率を出すときに、
分母に当期仕入高の原価は含まず、売価を入れて計算する方法と、決算整理前残高試算表の仕入金額と当期仕入商品値入額含めて計算する方法の
見分けかたは、残高試算表の仕入が載ってる場合含めて計算すると言う考え方であってますでしょうか?すみませんが、宜しくお願いいたします。
>分母に当期仕入高の原価は含まず、売価を入れて計算する方法と、決算整理前残高試算表の仕入金額と当期仕入商品値入額含めて計算する方法
前者は、税法の売価還元法ですね。アウトプット法ともいいます。後者は、会計基準の売価還元法ですね。インプット法ともいいます。
日商簿記1級は、原則、会計基準にもとづきますので後者で処理します。特段の指示が無い限り後者で処理してください。
もしかして、税理士受験生ですかね?だとすると前者も出るかもしれません。この場合、問題文に指示があると思いますので従ってください。もしくは、所与された条件から前者しか採用し得ない場合もあります。
>見分けかたは、残高試算表の仕入が載ってる場合含めて計算すると言う考え方であってますでしょうか?
TBに仕入勘定が載っていない場合というのがイメージできないのですが、どういうことでしょうか。三分法じゃないってこと?
初めてコメントを書きます。
解説中の「売上値引・割戻は、さきにも書いたとおり、原価率を算定した時点では、予測していない出来事であり、これを考慮してしまうと、在庫の予想販売金額が狂ってしまうのだ。」の部分を自分なりのイメージで置き換えてみました。
売上の場合は、商品のキズなどがあったのか否か、あったとしても、お客がいつ気が付いてクレームが入るかどうかも流動的であるから、売上値引の発生が読めない。すなわち、原価率の算定について考慮できない(というかしきれない。)
大量購入等の場合の売上割戻については、売上時において把握できそうな気もするが、一回で基準の販売量に達する場合だけでなく、何度も販売しているうちに割戻のできる販売量に達することなどもありうるから、原価率の算定について考慮することは難しい。
自分は建設業計理士1級が限界かなと思っていたのですが、7月の全経上級にチャレンジしてみようと思っています。(プロ簿記のわかりやすい説明のおかげで、日商1級のテキストもすんなり頭に入ってくるようになったので。)
追伸:
別のパソコンからですが、この解説記事も含めて、記事のコピペさせていただくことが多いので恐縮しています。テキストデータにして携帯に送って隙間時間の学習に役立てています。
テキストにせよ講義にせよ、自分の言葉に置き換えて説明してみるというのは、最高の学習法です。いいっすね。
ちなみに、厳密に言うと原価率には「事前原価率」と「事後原価率」というのがあって、その名のとおり、前者は販売する前に決めてあった原価率のことで、後者は販売後の「結果的にそうなってしまった原価率」のことです。
実務の世界で原価率っていうと、事後原価率のことを指す場合もあります。ありますというかその方が多いかな。この場合、売上値引や割戻しをしたあとの売上にもとづいて原価率を算定します。
しかし、会計の世界で原価率というと暗黙の了解で「事前原価率」を指すため、上記のように売上値引、割戻がなかった場合の売上にもとづいて計算します。試験には出ませんが、豆知識でした。
返信のコメントいただけるなんて感激です。
プロフェッショナル簿記の記事は非常に参考になります。
各種テクニックも大変有効なのですが、学習上の羅針盤になったというか、独学者の陥りやすい過ちを指摘していただけたのが、一番ありがたかったです。
(「仕分けをしないで、聞かれていることだけに答える」「出題されない難関論点は切る。」等)
テキストをとばすと、どの辺りで理解できなくなったのか、分からなくなるのではという不安にかられて、全ページを読み切っていたのですが、プロフェッショナル簿記のおかげでメリハリをつけて課題に取り組むことができるようになりました。
出題傾向の本気分析も参考にさせてもらいました。(例えば、原価計算は、設備投資の意思決定からスタートしました。)
プロ簿記講座の受講生ではないのですが、「なるほど」とか、「これはいい」と思ったことは、取り入れていますので、合格できたら富久田先生のおかげだと思います。
合格体験談を書けるように頑張ります。
こんにちは。いつもわかりやすい内容で助けていただいています。
今回のお話で一つ疑問に思ったことを質問させていただきます。
原始値入額とは仕入原価に最初に上乗せした利益のことと理解しており、最後の問題での扱われ方はむしろすんなり納得できました。
しかしひるがえって見返すと、逆に一門目で仕入戻しや割り戻しを行った際に原始値入額の調整が行われていないことの方に疑問を感じました。
つまり、原始値入額とは一番最初に決めた金額で不動のものと考えるべきなのか、期中の仕入戻しと割り戻しの利益分を当初の金額から差し引いたもので変動するものと考えるべきなのかという疑問です。
>逆に一門目で仕入戻しや割り戻しを行った際に原始値入額の調整が行われていないことの方に疑問を感じました。
通常の商品取引では、納品された時点で検収を行います。そこで商品のチェックを行い、(傷があるなとか品違いだなと思えば)値引きを受けたり、(仕入れすぎたなと思えば)返品をしたり、もしくは割戻しの請求をしたりします。
そうしたことを行った上で、「では、いくらくらい利益を乗っけようか?」と考えて、原始値入額を設定するのが一般的です。問題文に特段の指示がないのであれば、そういった前提で解きます。ですから、仕入戻しや割戻しがあっても原始値入額の調整は行いません。(それが1問目です)
135回は、そういった状況ではなく原始値入額を設定したあとに、返品をしたという設定です。そして問題文に「処理済み」とあるものの、それは返品の仕訳を処理したというだけで、原始値入額は直していないという状況です。指示不足です。
ご返事ありがとうございます。
直前に「特殊商品販売を基礎から学ぼう」の記事を読んでおり、その中で
「期末に実地棚卸をしたところ、50万円の在庫があった。在庫が多すぎるので、30万円分を返品(仕入戻し)とすることにした。」
というものがあり、この場合明らかに仕入と販売を行った後で仕入戻しをしているように思えます。
これは原始値入額を算定した後に返品をしているので調整を行うべきだと思うのです。
それとも最初に決定するのは値入「率」であって「額」ではない。問題文の原始値入額とは、期中の返品を行った後の純仕入額に、最初に決めた原始の値入率を掛けて出した額なのである、と考えるのでしょうか。
まず、そもそもですが
>直前に「特殊商品販売を基礎から学ぼう」の記事を読んでおり、その中で
その記事は、売価還元法ではないですよね。原始値入額の話はしていません。ごっちゃになっていませんか?
本問の本質は、問題文の表現の話です。
売価還元法でやりたいことは「販売することが可能な総仕入額を分子にして、総販売額を分母にして、原価率を算定する」ということだけです。ですから、それがわかる情報を問題文からピックアップできれば表現なんて何でもいいんです。実務でも、原始値入額などという用語は使わずに、とにかく販売可能な商品の全仕入額と売価から算定します。(実務では、試験で学ぶ方法とはまたちょっと違うやり方で計算することが多いです。税法方式といいます。話が拡散するので、ここでの解説はやめておきますが、興味があったら検索してください。)
ただ、売価還元法を規定しているのは、連続意見書という60年以上前の古い文書であって、そこで「原始値入額」という用語が使われているので試験でもその用語を使った問題が出されるわけです。
で、そこでは、「原始値入額」について詳しい定義が書かれていないんです。
実務における商品の仕入から販売までの流れを考えると次のようになります。
①仕入をして検収
②一部返品
③販売開始
④一部返品
⑤販売続行
問題文のいう原始値入額というのが、どのタイミングで決めたものなのか。
上記、①と②の間のことなのか、②と③の間のことなのか、④と⑤の間のことなのか。
どの時点のものを指しているのかが明確であるべきだという話です。
本ページの問題1は、②と③の間で原始値入額を決めていると解釈してください、ということです。売価還元法の問題で、特に指示がなく「原始値入額」という用語が使われていたら、ここのタイミングで決められたものだと解釈して解くしかありません。
なお、仮に④の返品が生じたのであれば、当然に原始値入額の調整を行います。売り物がなくなっただから、その分の値入額を控除するのは当然です。そして、問題文に特段の指示がないのであれば、その調整後の原始値入額が書かれていると解釈するべきです。
もちろん、もっと詳しい情報が問題文に書かれているならしたがってください。例えば「前TBに計上されている仕入戻しXX円のうち、販売前に返品した分はXX円、販売後に返品した分はXX円である。本問題文に書かれている原始値入額とは販売前に決めたものであり、販売後に返品した分については、帳簿上の仕訳は行っているが、原始値入額の調整は行っていない」というようなケースです。その指示に従って問題を解いてください。
なお、繰り返しになりますが、「特殊商品販売を基礎から学ぼう」の問題では、④のタイミングで返品していますが、そもそもこれは売価還元法を前提にはしていないし、原始値入額の話もしていません。
申し訳ございません、返品というものを誤解していたようです。
仕入れた商品や製品に品違い・品質不良などがあったためなどの正当な理由もなく、期末の在庫が多いなどというこちらの都合で返品を行うなどということは、一定の信用または力関係がないとできない、本来イレギュラーなことでした。
こうした正当な理由は通常、仕入時に発生するものなので、販売前に返品していると考えるのが妥当なのですね。
的外れな疑問に対して丁寧に説明していただきありがとうございました。