第171回日商簿記1級合格体験記【中畝 由樹さん】

出題範囲の広い1級の勉強を、仕事をしながら(合格までの間に結婚、転職とライフステージの転換もありました)合格するまで続けるには、スキマ時間を有効活用することが不可欠です。その際、スキマ時間でも身になるような勉強法を意識することが重要です。
以下は振り返ってみて、重要だと思う点を挙げてみました。何かの参考になれば幸いです。
〈心持ち〉
・勉強する範囲を有限化する
範囲の広い1級を働きながら勉強する場合、全論点を完璧にするには時間が足りません。「全論点をカバーする」という心持ちで進めると、結局すべての論点が中途半端になってしまいます。得意論点を一つずつ作り、それを積み上げていくというイメージに切り替えてから、点数が伸び始めました。
〈インプット期〉
・論点のポイントやロジックを言語化できるか確認する
私は、同じ問題を何回か手を動かして解いていると作業的になってしまい、頭に入りませんでした。インプット段階では、手を動かして答えを導くことを目的とせず、その論点のポイントを自分の言葉で説明できるかを目的にすることが、最も頭に負荷がかかり身になりました。(説明できるようになるための手段として手を動かすのは良いですが、手段と目的を取り違えないことが大切です。)いかに脳に負荷をかけて記憶を定着させるかを意識し、模索してみてください。
・目解き
確認テストの問題文だけを読み、答えまでの道筋を頭の中で思い浮かべます。これができるようになると、復習効率が格段に上がります。頭の中で詰まったらテキストを読み返し、再び自分の言葉で説明できるようになるまでインプットを繰り返します。これは机の上でなくても、電卓がなくても、いつでも復習ができます。場所や時間に縛られずに勉強できます。
〈仕上げ期〉
・ケアレスミス対策
プロ簿記のインプット講座、確認テスト、解法マスターまで一通り終え、本番形式に取り組む段階になったら、ケアレスミス対策に重点を置くことが、点数上昇へのコスパが最も良いと感じました。重要なのは、より具体的で自分なりの対策を考え、実行することです。
例えば私は、前TBの為PLや利息等の考慮漏れが非常に多かったため、試験開始時に必ず前TBを確認し、足し忘れが発生しやすい勘定を見つけて◯印を付けておく、という自分ルールを何個か作りました。試験開始前に「何をチェックするか」をシミュレーションしてから問題に取り組んでいました。なお、応用問題を解けるようにすることは、必ずしもテストの点数に直結しませんでした。
〈勉強法〉
・自分なりの勉強法を獲得しにいく
先生のお話や合格体験記、勉強法に関する本など、様々な勉強法が紹介ありますが、最終的にはそれらを参考にしつつ、自分にとって最も効率の良い勉強法を獲得することが大切だと思います。人や本に書かれていることを自分のフィルターを通さずにそのまま実行すれば、点数が伸びるというわけではありません。紹介している人と自分とでは、境遇や勉強に投入できる時間など、変数があるからです。
「それらを参考にしながら、どうすれば自分の点数が伸びるのかを思考する」、これが一番の合格の秘訣ではないかと思います。
勉強の合間の息抜きとして、以下のコンテンツも活用していました。
・勉強の哲学 来たるべきバカのために(著:千葉雅也/出版社:文藝春秋[文春新書])
私の好きな哲学者が、勉強について書いた本です。「有限化」という概念が紹介されており、1級の勉強において全論点を網羅したくなる誘惑に対し、どこに注力すべきかを考えるヒントになりました。
・使える!予習と復習の勉強法 -自主学習の心理学
(著:篠ケ谷圭太/出版社:筑摩書房[ちくま新書])
・受験脳の作り方 -脳科学で考える効率的学習法-
(著:池谷裕二/出版社:新潮社[新潮文庫])
いずれも、心理学・教育学の研究をエビデンスとして、勉強法が紹介されています。勉強法に納得感を持てたことで、迷いなく学習を進められたように感じます。
・日本経済新聞(紙媒体)
会計を勉強することで、以前より数倍理解できるようになったことに感動しました。紙ベースだと、自分の関心外の情報にも自然と目が向くため、おすすめです。
・NewsPicks NPレポート(フジテレビ問題)
・映画 マネー・ショート(監督:アダム・マッケイ)
・映画 ウルフ・オブ・ウォールストリート(監督:マーティン・スコセッシ)
これらを通じて、連結、企業結合、純資産会計といった論点が好きになりました。
