1級商会・退職給付会計はワークシートをおすすめ

退職給付会計は差異が入ってくると混乱する

定型パターンの退職給付会計の問題であれば、T勘定を用いた解法をマスターすれば、素早く解くことが出来るはず。

しかし、退職給付会計は、未認識数理計算上の差異や過去勤務費用などの論点が入ってくると、途端に難しくなる。計算もさることながら、どのタイミングで償却の処理をすべきかなど、混乱する要素がたくさんあるからだ。

もちろん、そういった場合でも、T勘定を用いた解法は有用だ。きちんと手順を守れば正解を導けるだろう。しかし混乱しミスをしやすいのも事実だ。

ワークシートを使えば機械的に解ける

ワークシートを用いた解法をご存知だろうか。決まった枠組みの中に数値をはめ込んでいき、あとはルールに従って機械的に計算をしていけば自動的に解答が得られる方法だ。

一見すると裏技的な解法だが、決してそんなことはない。いやむしろこちらの方がオーソライズされた方法かもしれない。なぜなら企業会計基準適用指針でも用いられているからだ。安心して使ってほしい。

ワークシートの使い方

雛形を用意する

まずは、次のような雛形を用意する。もちろん、本番ではこんなにきれいに書く必要はない。自分さえ分かればいいのだから、項目の並びなどを覚えてしまい、数値だけの羅列で構わない。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務            
資産            
合計            
差異            
引当金            

略名について

  • 債務:退職給付債務
  • 資産:年金資産
  • 差異:未認識数理計算上の差異など
  • 引当金:退職給付引当金
  • 実際前末:前期末における実際額
  • 費用:退職給付費用
  • 年金支払:掛金拠出、一時金支払い、年金基金からの支払いなど
  • 予想当末:当期末における予想額
  • 実際当末:当期末における実際額

ワークシート記入のルール

  • B/S科目は借方なら+、貸方なら−
  • 資産が増えるなら+、減るなら−
  • P/L科目は損したら−、得したら+

・・・と、ここまで書いて思ったのだけれど、ごちゃごちゃとしたルールを語るより、実践例を見て頂いたほうが分かりやすいだろう。問題を解きながらマスターしていこう。

実践例をやってみよう

設例

以下の資料にもとづいて、当期末の個別B/Sの退職給付引当金と個別P/Lの退職給付費用を求めなさい。

資料

  1. 当期は、×26年3月期(×25年4月1日~×26年3月31日)
  2. 残高試算表の退職給付引当金:34,080千円
  3. 期首退職給付債務83,200千円、期首年金資産48,800千円
  4. ×24年3月発生の未認識数理計算上の差異の期首の残額320千円
  5. 年金基金から従業員への支払額300千円がある。
  6. 勤務費用2,430千円、割引率年2%、長期期待運用収益率年1.5%である
  7. 期末の各実際額は、退職給付債務87,294千円、年金資産49,052千円である。
  8. 数理計算上の差異は発生年度より10年の定額法で償却

Step.1

まずは資料3から、前期末(当期首)の実際額を記入して合計を出す。続いて、資料2からT/Bの引当金を記入する。差し引きから未認識数理計算上の差異が算定される。資料4の値と同じであることを確認する。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200          
             
資産 48,800          
             
合計 -34,400          
差異 320          
引当金 -34,080          

Step.2

資料6から退職給付費用を計算する。勤務費用は問題文から2,430、利息費用は、-83,200×2%=-1,664、期待運用収益は48,800×1.5%=732

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430        
    -1,664        
資産 48,800 732        
             
合計 -34,400          
差異 320          
引当金 -34,080          

Step.3

資料5から年金基金から300の支払いがあったので退職給付債務と年金資産の両方から引く。
なお、掛金拠出なら年金資産にプラス、退職一時金の支払いなら退職給付債務のマイナスだ。
この3パターンしかないので覚えてしまうこと。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300      
    -1,664        
資産 48,800 732 -300      
             
合計 -34,400          
差異 320          
引当金 -34,080          

Step.4

退職給付債務と年金資産を集計して、当期末の予想額を記入する。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300 -86,994    
    -1,664        
資産 48,800 732 -300 49,232    
             
合計 -34,400     -37,762    
差異 320          
引当金 -34,080          

Step.5

資料7から当期末の実際額を記入する。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300 -86,994   -87,294
    -1,664        
資産 48,800 732 -300 49,232   49,052
             
合計 -34,400     -37,762   -38,242
差異 320          
引当金 -34,080          

Step.6

当期末の予想値と実際額が異なるということは、当期中に数理計算上の差異が生じていることを示している。ここで、予想の引当金よりも実際の引当金の方が額が大きいということは、不利差異(借方差異)が生じているということ。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300 -86,994   -87,294
    -1,664        
資産 48,800 732 -300 49,232   49,052
             
合計 -34,400     -37,762   -38,242
差異 320       480  
引当金 -34,080          

Step.7

差異を償却する。本問では、前期末の差異320については、10年償却のうち2年償却済みなので残り8年で償却、当期発生の差異480については、当期より10年で償却する。
320千円÷(10年−2年)=40千円・・・前期末時点の数理計算上の差異の償却分
480千円÷10年=48千円・・・当期発生の数理計算上の差異の償却分
よって、合計88千円

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300 -86,994   -87,294
    -1,664        
資産 48,800 732 -300 49,232   49,052
             
合計 -34,400     -37,762   -38,242
差異 320 -88     480  
引当金 -34,080          

Step.8

退職給付費用の列を合計する。3,450千円が当期の退職給付費用である。実際の当期末の退職給付引当金の列を合計する。37,530円が退職給付引当金である。

  実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
債務 -83,200 -2,430 300 -86,994   -87,294
    -1,664        
資産 48,800 732 -300 49,232   49,052
             
合計 -34,400     -37,762   -38,242
差異 320 -88     480 712
引当金 -34,080 -3,450 0     -37,530

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1級商会・退職給付会計はワークシートをおすすめ” に対して37件のコメントがあります。

  1. きゃろる より:

    ワークシートによる退職給付会計の説明ありがとうございます。
    この方が足し忘れや、引き忘れ、どこに何を足し引きするのかがわかりやすく、
    ミスがなくなりそうです。
    退職給付会計は簿記の試験対策としてだけではなく、実務でも使用できそう
    (今の会社は中退金に丸投げで何もしていないのですが・・・)
    なので、将来のためにも習得できるようにしたいと思います。

    1つ確認なのですが、もしかしたら、まだこのページを修正中なのかもしれませんが、
    年金の支払額がSTEP4まで300だったのにSTEP5から9,600になっています。
    これは単なるミスですよね?

  2. pro-boki より:

    きゃろるさんへ
    コメントありがとうございます。

    >年金の支払額がSTEP4まで300だったのにSTEP5から9,600になっています。
    はい、ケアレスミスです。ご指摘ありがとうございます。修正しました。

  3. Kk より:

    こんにちは。大原ではワークシートやってくれないので、この記事に大変救われました。ありがとうございます。

    さて、気のせいかもしれませんが、以前は、「こちらの方がオーソライズされた方法かもしれない。なぜなら企業会計基準適用指針でも用いられているからだ」の部分箇所に外部リンクがありませんでしたっけ..? 適用指針でどのように扱われているのか改めて確認したいので、ご存知でしたらリンクを教えてほしいです。(グーグルでうまく検索できず、色々でてきてどれが正規の適用指針か分からず…)横着して申し訳ありません。

    1. pro-boki より:

      これですね。
      企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針

    2. Kk より:

      早速ありがとうございました。

  4. ちゃんつー より:

    初めてお世話になります。いつも先生の記事には救われております。

    すごく初歩的な質問だったら申し訳ないです。退職給付会計を勉強していて、どうにも腹落ちできない箇所があるのですが、
    期首退職給付債務ー期首年金資産ー未認識数量計算上の差異(不利差異)=期末退職給付引当金
    とありますが、どうして未認識部分を引くのでしょうか?

    自分は未認識部分の差異が退職給付債務または年金資産に含まれたままだから?と解釈していますが、正しい解釈なのでしょうか?

    仮にこれが正しい場合、設例での期末退職給付引当金の計算は順序を辿れば、
    87294ー49052ー800+88
    実際期末退職給付債務ー実際期末年金資産から、どちらかに含まれているけど表には出てこない未認識部分の差異を控除したのち、表に出てくる差異の償却部分を加算=期末退職給付引当金、という解釈で大丈夫でしょうか?

    是非ご教示お願い致します!

    1. pro-boki より:

      以下、たとえ話を作ってみました。

      期首に借金が100万円あるとします。一方でこの借金返済用に40万円の投資用資産を信託銀行に信託しているとします。よって、このときの実質的は借金は60万円(=100−40)です。

      さて、1年経過しました。借金には10万円の利息つくとします。よって期末に予定される実質的は借金は70万円(=実際期末債務110−予想期末資産40)です。

      さて、信託銀行から連絡が入りました。投資に失敗して、40万円の投資用資産は30万円になってしまったそうです。ということは、実質的な借金はいくらでしょうか。80万円(=実際期末債務110−実際期末資産30)です。しかし、この損は、信託契約を解約しない限り実現しません。あくまでも含み損という状態です。

      おわかりだと思いますが、借金は退職給付債務、投資信託は年金資産、実質的な借金は退職給付引当金と読み替えると、まんま、退職給付会計の話です。

      さて、ここで、B/Sを作るとして実質的な借金(退職給付引当金)はいくらと表示すべきでしょうか。80万円としたくなりますよね?しかし、退職給付会計はそうではないのです。あくまでも当初の予想である70万円を表示をするのです。含み損10万円は表示しません。(表示しないからこそ”未認識”というのです)

      つまり、本当は、80万円の引当金なのだけど、表示上は10万円を引いた70万円を退職給付引当金とするのです。じゃあ含み損10万円はどうなっているかというと、例えば10年間に渡って1万円づつ認識していくのです。

      これを式にすると、
      実際期末債務110−実際期末資産30−未認識数理計算上の差異10=70となります。

      なぜ、未認識数理計算上の差異を引くか分かりましたか?

  5. ちゃんつー より:

    早速のお返事ありがとうございます!

    先生の噛み砕いた例えのおかげでストンと腹落ちしました。実質的には80の負債でも、その中には表示しない含み損10が含まれているので、表示してやるためにはその10を引いてやらないといけない、という事ですよね?

    そこでもう一つ疑問に感じたことがあるのですが、よろしいでしょうか?例えば売買目的有価証券の評価損も含み損に該当すると解釈していますが、損益計上して売買目的有価証券の帳簿価額も減額します。退職給付引当金は含み損は計上しないというのは何か明確な理由があるのでしょうか?

    試験とは少し話が逸れてしまっているのですが、お手数ですがご教示お願い致します!

    1. pro-boki より:

      >退職給付引当金は含み損は計上しないというのは何か明確な理由があるのでしょうか?

      良い質問ですね。
      ひとつ勘違いしてほしくないのは、計上しないわけではないということです。
      例えば10万円の含み損があるとして、発生した期には計上しないけど、翌年から10年間かけて1万円ずつ計上するわけです。よって10年後には同じ結果になります。つまり認識が遅れだけ(遅延認識といいます)で、計上しないわけではありません。

      さて、そもそも数理計算上の差異ってなんでしょう?
      退職給付債務は、従業員のうち、退職までにどれくらいの人が死んだり中途退職しそうか、昇給率はどれくらいになるか、などの予測値にもとづいて計算します。あくまで予測なので実績との間で差が出ます。これが数理計算上の差異です。あと、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果の差も数理計算上の差異です。

      これらを計算するにあたり、退職率、死亡率、予定昇給率といった基礎率を用いるわけですが、基礎率はそもそも何十年という長期的な展望にもとづいて算定されたものです。
      にもかからず、単年度で発生した差異を即時に全額費用化すると、引当金の増減が激しすぎて、むしろ期間損益計算を歪めると考えられているのです。そのため、遅延認識を行うのです。

      ものすごく端折って言うと、100万円で機械を買ったからといって、100万円をその買った年に即時全額費用化してしまうと、期間損益計算を歪めますよね。買った年だけすごい赤字になって、翌年からすごい黒字になってしまいます。機械は10年とかの長期使用を前提に買っているわけですから、10年間にわたって少しずつ費用化したほうが適正な期間損益計算になりますよね。それが減価償却ですね。これに近いイメージです。

  6. ちゃんつー より:

    返信ありがとうございます!

    そうですよね、計上しないわけではないんですよね。この論点は自分的にはかなりイメージしにくくて理解に苦しんでいたのですが、減価償却と話をつなげると完全にスッキリしました。本当にありがとうございました。

    あと、最後に1つだけ質問させて下さい。例えば未認識数理計算上の差異が100だったとして、それを10年で均等に費用化する場合、
    退職給付費用10/退職給付引当金10
    と仕訳を切りますよね?自分が使っているテキストにはこの仕訳の退職給付引当金の下に、未認識数理計算上の差異と書かれています。この費用化された10は未認識ではないですよね?この場合、未認識数理計算上の差異は90になると思うのですが、この書き方だと10が未認識数理計算上の差異だと解釈してしまいそうな気がするのですが…。

    これは単純にテキストが間違っているのでしょうか?それとも自分の解釈のしかたに問題があるのでしょうか?

    1. pro-boki より:

      すみません、遅くなりました。

      >自分が使っているテキストにはこの仕訳の退職給付引当金の下に、未認識数理計算上の差異と書かれています。

      当該テキストを読んでみないとなんとも言えませんが、書かれている内容だけで判断するなら、誤りだとおもいます。もしかすると「未認識数理計算上の差異のうち当期償却分」という意味かもしれないですね。

  7. ぴあの より:

    税理士試験、簿記論・財務諸表論を勉強中です。
    退職給付会計は、ワークシートでは教わっていないのですが、自分にはワークシートの方があっているのでは?と思い、こちらの記事で学習させていただきました。
    問題集レベルですが・・きちんと解答できました!(当たり前ですが。笑)
    他にも以前、建設業経理士1級を独学中の時にも操業度差異の記事を読んで、とても納得できました。おかげさまでそちらも無事に3科目全て合格できました。
    以前も別のハンドルネームでコメントを書かせていただきましたが、そのページも覚えていないので、違うハンドルネームかもしれません。
    ただ、一言お礼を言わせていただきたかったので、書き込みます。
    本当にありがとうございました。
    次は連結会計の記事を熟読させていただくかもしれません。笑

    1. pro-boki より:

      ぴあのさん

      お久しぶりです。お元気でしたか。ぴあのさんってMerylさんですよね?以前、お勤めの職を辞めて、新たな道に進まれていると書かれていたと思います。

      簿財を勉強中、そして建設業も3科目コンプリートということは、その道を着実に歩まれているのですかね。素敵ですね。(すみません、もしかしてMerylさんではなかったら、ごめんなさい。気にしないでください。)

      退職給付のワークシートは便利ですよ。最初はちょっととっつきにくいのですが、慣れると、もうこれなしでは解く気がしません。本当に便利です。かなり複雑なケースにも対応できます。例えば前期以前に計上した未認識数理計算上の差異がありつつ、当期に新たな過去勤務費用が発生したなど、面倒なケースです。これも、ワークシート使えば一発解決です。ぜひ、習得されて武器にしてください。

      私は、いま週に6本の授業を抱えています。忙しくてひーひー言ってますが、とてもやりがいのある仕事で幸せを感じています。なにより嬉しいのは、受講生さんから嬉しい声を聞くことです。
      先月、1級の合格発表があり、プロ簿記からは15名が合格しました。合格率は25%超えです。受講生さんのがんばりに感動を覚えます。

      簿財合格されたらぜひ、ご連絡ください。お祝いします。ささやかですけど(笑)

  8. DN より:

    はじめまして。最近BATICの勉強を始めて、行き詰ってしまいここにたどりつきました。

    BATIC問題集での従業員給付について質問させてください。

    ①問題では確定給付負債/資産を求めよ、とでてくるのですが
    確定給付負債/資産とはワークシートの中のどの部分に当たるのでしょうか。

    ②確定給付負債(資産)の純額の再測定に必要な項目は”数理計算上の差異と、利息純額に含まれる金額を除いた、制度資産にかかる収益”とテキストにはなっているのですが、なぜその二つの項目なのでしょうか。

    お手数だと思いますがご教示をおねがいいたします。

    1. pro-boki より:

      BATICということは、IFRSですよね。

      当ブログは、日本基準を前提として記事を書いているため、IFRSのご質問にはお答えできません。勉強不足でごめんなさい。

      ちなみに「確定給付負債(資産)」や「制度資産」という用語は、日本基準の退職給付会計では登場しません。

      ただ、お寄せ頂いた以下の文章から、ある程度は推測できます。

      >確定給付負債(資産)の純額の再測定に必要な項目は”数理計算上の差異と利息純額に含まれる金額を除いた、制度資産にかかる収益

      多分、確定給付負債(資産)とは、連結F/Sにおける退職給付に係る負債(資産)のことではないかと推測します。また、制度資産という用語は、多分ですが、日本基準における年金資産のことで、それにかかる収益とは、期待運用収益のことを言っているのだと思います。

      そして「再測定」というのは、日本基準でいうところの期末における退職給付債務および年金資産の実際額の測定のことを言っているのでしょう。

      そうだとするなら、退職給付債務は、基礎率が予測値どおりではなかったことによる差異(これが数理計算上の差異)を測定する必要があり、年金資産は運用収益における予測額と実際額の差異を測定する必要があります。このことを言っているのではないでしょうか。

      しかし、これは、お寄せいただいた上記のパラグラフから推測しただけのものであり、正確性はまったく担保できません。

  9. DN より:

    返信していただきありがとうございました。

    もう少しテキストやウェブから情報を探りながら
    自分なりに落とし所を探ってみます。

    ありがとうございました。

  10. おさむ より:

    ここで説明に使われている問題文に
    「9. 当期に退職金規定の改訂が行われ、給与水準が引き上げられた。これにより過去勤務費用20,000千円が発生した。過去勤務費用は、平均残存勤務期間5年にわたり定額法によって処理する。」
    という文言が追加されたら上記のワークシートはどんな風になるのでしょうか。
    過去勤務費用については言及されてなく、問題で詰まってしまいました。

    いつもお世話になっております。回答していただけると助かります。

    1. pro-boki より:

      その条件だけですと、整合性がいまいち取れませんので、次のように変更させていただきます。

      7.期末の各実際額は、退職給付債務107,294千円、年金資産49,052千円である。
      9.当期に退職金規定の改訂が行われ、給与水準が引き上げられたことにより過去勤務費用20,000千円が発生し、期首退職給付債務が83,200から103,200となった。なお、過去勤務費用は、平均残存勤務期間5年にわたり定額法によって処理する。

      この場合、以下のようなワークシートになります。

      実際前末 費用 年金支払 予想当末 差異 実際当末
      債務 -103,200 -4,494 300 -107,394 100 -107,294
      資産 48,800 732 -300 49,232 -180 49,052
      数理計算上の差異 320 -48 272 80 352
      過去勤務費用 20,000 -4,000 16,000 16,000
      引当金 -34,080 -7,810 -41,890 -41,890

      なお、表中の4,494の計算根拠は、次のとおりです。
      (勤務費用)2,430+(利息費用)103,200×2%=4,494

      また、表中の48の計算根拠は、次のとおりです。
      (前期分)320/8+(当期分)80/10=48

  11. おさむ より:

    詳しく解説していただきありがとうございます。

  12. こうすけ より:

    独学で勉強しており、本サイトを参考にさせて頂いてます。退職給付債務でわからない点があるのですが、問題によって、未認識数理計算上の差異の未償却残高を退職給付債務から控除してるものと、償却分のみ退職給付費用として処理し、期末の退職給付債務残高を算出しているものがあるように思います。
    例えば129回(自分のテキストには改題となってますので、もしかすると本試験と数値が異なるかもしれません)では、「当期末に発生した数理計算上の差異1000(不足額)は当期より定額法により10年で費用処理する」と記載されていたので期末の引当金残高には未償却残高900を考慮するのだなと考えたのですが、回答を見る限り償却分100を費用処理して期末引当金残高を計算しています。
    どういうことなのか解説をお願い出来ますでしょうか。

    1. pro-boki より:

      多分、期末予定額と期末実際額をごっちゃにしているので、そのような誤解が生じているのではないかと思います。129回をワークシートで解くと次のようになります。(数理計算上の差異1,000は、すべて退職給付債務から生じたものとしています)

      期首 費用 拠出 年金 期予 差異 期実
      -15,000 -400 250 -15,450 -1,000 -16,450
      -300
      12,500 350 300 -250 12,900 12,900
      -100 -100 1,000 900
      -2,500 -450 300 -2,650 -2,650

      期末予定(右から3列目)に注目すれば、償却分のみを控除しているように見えるでしょうし、期末実際(一番右の列)に注目すれば、未償却残高を控除しているように見えますよね。

    2. こうすけ より:

      よく理解出来ました。問題文から実際残高
      と予定残高の差額により、当期に新たに認識する差異が無い場合には簡便にT字勘定で解くことにしていたのですが、ご指摘の勘違いをしていたために差異の処理がよく理解出来ず、差異の期末残高を期末引当金に調整するという方法で覚えていました。やはり、ワークシートですと各勘定の動きが分かりやすく、間違いにくいように思いました。ありがとうございました。

    3. こうすけ より:

      すいません、一点だけ追加で質問よろしいでしょうか。右から3列目「差」の−100の意味するところについて。
      当期に発生した1000の未認識の借方差異について、期末に認識する100を実際退職給付債務として反映させるため、2,650の期末引当金になる。という意味と理解してよろしいでしょうか?

  13. こうすけ より:

    つい先日コメントした者です。先のコメントではワークシートの説明ありがとうございました。ご多忙とは思いますが、追加の質問もご回答頂けると幸いです。お待ちしております。

    また、本論とは関係無いのですが、膨大な量の計算問題では何処かで計算ミスをしてしまいます。計算力が必要なのはもちろんなのですが、工夫も必要かと思っております。例えば総合原価計算の原価配布計算などは計算方法やボックス図の書き方など工夫しておりますか?
    良い方法などあれば教えていただきたいです。よろしくお願いします。

    1. pro-boki より:

      >右から3列目「差」の−100の意味するところについて。当期に発生した1000の未認識の借方差異について、期末に認識する100を実際退職給付債務として反映させるため、2,650の期末引当金になる。という意味と理解してよろしいでしょうか?

      5列目(右から3列目)に特段の意味はなく、これは1列目から4列目までの合計列にすぎません。つまり、期首の引当金2,500に対して、当期に退職給付費用が450発生して、当期に300の掛け金を拠出したので、期末引当金が2,650になったということを表しているにすぎません。

      なお「期末に認識する100を実際退職給付債務として反映させるため」という意味がいまひとつ分かりません。100を反映させる云々関係なく、退職給付債務の実際額は、△16,450です。そして、これから費用化されていく予定の差異(=未認識数理計算上の差異)が900あるという状態です。

      >また、本論とは関係無いのですが、膨大な量の計算問題では何処かで計算ミスをしてしまいます。計算力が必要なのはもちろんなのですが、工夫も必要かと思っております。

      はい、おっしゃるとおり、その手の工夫は必要だと思います。実際のところ、合否はそこで決まると言っても過言ではないと思います。

      ぜひ、効率が良くてミスしにくい下書きの書き方を探ってみてください。どういった下書きの書き方や計算手順が自分にフィットするかは、個々人で異なります。いろいろ試してみてください。自分で導き出した効率的な下書きや解法は武器になりますよ。トライしてみましょう。

      自分では無理、誰かに教えてもらいたい、という感じでしたら、スクールをおすすめします。なお、この手のテクニックは、全てのスクールで教えてくれるとは限りませんので、事前に調べることをおすすめします。

  14. ART より:

    はじめまして。いつも拝見させていただいて大変勉強になっております。
    ワークシートの書き方についてお伺いしたいのです。「X年4/1〜3/31を当期とする。期首の退職給付債務は20000円。X4/1に給付水準の引き下げを行い、過去勤務費用が200円発生した。(利息費用の計算に反映させる。)」といった場合、期首の項目はそれぞれどのように埋めると良いのでしょうか?
    よろしければ是非ご回答お願いいたします。

    1. pro-boki より:

      確認ですが、給付の引き下げとありますから、過去勤務費用は有利差異ですね。

      期首の退職給付債務を19,800円(ワークシート上は△19,800)、期首の未認識過去勤務費用をワークシート上に△200とすればいいと思います。ちなみに、この場合、利息費用は19,800円に割引率を掛けて算定します。

  15. タコやき より:

    こんにちは、初めまして!独学をしてまして、いつとサイトをみさせてもらってます。
    質問させてください!
    143回の退職給付に係る部分で、「年金拠出額と退職一時金は退職給付勘定で処理してる」と書いていまして、ワークフロー作成の際に、年金を増やす場合、退職金払ってるから債務を減らす場合、年金から退職金をはらってるのなら、年金へらして、債務もへらす場合があると思うのですが、なぜ、回答のフローは、年金を増やしているのでしょうか??

    1. pro-boki より:

      >なぜ、回答のフローは、年金を増やしているのでしょうか??

      回答のフローとは何でしょうか。うちのブログの記事ですかね?(143回はブログに書いた記憶がないのですが)
      それとも、TACとかNS社の過去問集の解説のことですか?(他社の過去問集などの書籍についての論評は控えたいと思いますのでご了承ください)

      143回の問題を見てみましたが「当期末に支払われた年金拠出額と退職一時金は退職給付勘定(26,000千円)で暫定的に処理しており」と書かれています。ここのことですよね?

      年金拠出も、退職一時金も、どちらも仕訳は「退職給付引当金XX/退職給付XX」となります。つまり26,000千円のうち、いくらが拠出額で、いくらが一時金の支払額か、その内訳に関わらず同じ仕訳になり、同じ回答になります。

      そこで、その回答のフローは、わかりやすく全額を年金資産への拠出に寄せたのではないでしょうか。(私も計算するときは、そうすると思います。)

    2. タコ より:

      ありがとうございます!
      分かりやすい解説ありがとうございました。よく分かりました。
      ちなみに、解答のワークフローは、本ブログの退職給付の過去問実践講義のスライドに載っていました。
      そこでは年金資産を増やしていました。
      債務減らそうが、年金資産増やそうが答えは変わりませんもんね、ありがとうございました。

  16. あき より:

    いつもブログを拝見しております!公認会計士試験の勉強をしている者です。僕が持っているテキストでは退職給付の解き方がT勘定しか載っておらず、ワークシートの書き方の詳細をこちらで勉強させていただくことができて大変助かりました。ありがとうございます。

    ただ、この方法で問題を解いていてどうしたらよいか迷うことがありましたので、もしよろしければご回答いただけると幸いです。

    質問1(すみません、こっちは解決しました。
    企業年金制度において従業員拠出がある場合のワークシートの記入で迷いました。従業員掛金拠出の際「(借方)退職給付引当金/(貸方)退職給付費用」という仕訳を切りますが、拠出をするのは誰であれ年金資産は増えるわけですから、列:年金支払、行:資産の欄にとりあえず拠出額を書きました。ただこの従業員拠出で費用が減る分について、列:費用には、行のどこに書けば良いか迷いました。列:費用の欄は、一旦従業員拠出分は無視して考えて、それ以外の合計を出した上で従業員拠出分を考慮する、という解き方をしたところ解答と一致したものの、今までは従業員拠出が無いパターンだとこの表にあてはめるだけで全部解けていたので、これだけなんか気持ちわるいなあ、良い方法はないかなと思っていたんですが、今これを書いていてふと、あ、列:引当金のところに書けばいいのか、と納得しましたwすみません…。やってることは変わりませんが、自分の中で整合性が取れてすっきりしました。自分の考えを文章にしてみるのって良いですね。

    質問2
    そもそも従業員拠出の仕訳である「(借方)退職給付引当金/(貸方)退職給付費用」これの意味がよく分かりません。
    僕の持っているテキストでは、「退職給付引当金=退職給付債務-年金資産」という式が載っています。退職給付から年金資産を引くと、企業で計上すべき引当金の額が出る、と認識をしています。
    従業員拠出では、拠出をするのが企業ではなく従業員になりますが、掛金の拠出をしたのが誰であれ年金資産が増えることに変わりはありません。年金資産が増えた結果退職給付引当金が減る、ということは、上記の式に当てはめなんとなく分かります。ただ、ここでどうして突然費用が減るでしょうか?引当金が減ったという事実に対して利益を計上するために、間接的に費用を減らしているんでしょうか?もしそうだった場合、費用を減らすのではなく利益を計上しない理由は、どう捉えれば良いですか?発生主義会計などをべんきょうしてみればいいんでしょうか。書いていて頭が混乱してきましたw

    別件ですが、管理会計論の標準原価計算で躓いています。今通っている予備校の講義を聞いていても、何が分からないか分からない状況です。2級の標準原価計算は意味も含めて何をしているのか理解できていたつもりでした。そこで、プロ簿記様での受講について、プラン内容などの問い合わせをさせていただきたいのですが、ページ上記の「お問い合わせ」の欄から送信すればよろしいですか?

    ご回答お待ちしております。

    1. pro-boki より:

      質問1について。

      会計士受験生ということですから、ちょっと厳し目のアドバイスとなります。まず勉強の習慣として、こういった疑問が生じたときは、適用指針なんかを探せばたいてい出てきますから、まずは自分で探してみましょう。

      「適用指針 従業員拠出」でググると、(私のブラウザでは)2番目に以下の適用指針がヒットします。適用指針はワークシートで解説が書かれていますから、プロ簿記の記事と整合的です。
      https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/taikyu_2015_1.pdf

      このP73の設例6がまさに該当します。ワークシート上では、単に年金資産への拠出として記入すればいいだけです。ただし。この資金の出し手は企業ではなく従業員ですから、企業としては費用計上するのではなく(退職給付費用を計上するのではなく)、従業員預り金を取り崩して対処します。

      質問2について。

      従業員拠出の処理である「退職給付引当金/退職給付費用」だけに注目すると意味不明になりがちですが、これはその前提として、退職給付債務の増加額をいったん全部企業負担(退職給付費用)として処理してあることが前提で、そのうえで、一部は企業負担ではなくて従業員負担なので、その分を取り消しているのです。

      これも含めて、上記適用指針に載っていますので、ご覧下さい(P74)

      >別件ですが、管理会計論の標準原価計算で躓いています。今通っている予備校の講義を聞いていても、何が分からないか分からない状況です。<略>そこで、プロ簿記様での受講について、プラン内容などの問い合わせをさせていただきたいのですが、

      まずは、現在通われている予備校を徹底的に活用してください。もうお金払っているんですよね?遠慮することはありません。講師やチューターを使いましょう。基本的に、講師はやる気のある受講生さんから相談されるのは嬉しいものです。

      また、「何が分からないか分からない」という状態なら、もう一段踏み込んで「少なくともここまでは分かる、ここからあやしい、ここから先は全然意味不明」というのを明確にしましょう。場合によっては2級まで戻ることも必要ですが、恥ずかしがることはありません。
      標準原価計算は、2級レベルだと理解していない状態でもやり方暗記でクリア出来てしまうので、何となく出来た気になってしまいがちです。そういう方は多いです。今一度基礎にもどりましょう。

      なお、プロ簿記は、入会にあたり以下を条件とさせていただいております。
      1.日商簿記1級を目標としていること(会計士、税理士目標の方のご入会はお断りしています)
      2.他のスクールに通っていないこと(まずは今通っているスクールを十分に活用することを強くおすすめしています)
      3.日商簿記2級に合格していること

      あきさまにつきましては、上記1と2の点からご入会をお受け出来ない可能性が高いです。申し訳ありません。

  17. あき より:

    すみません、一度一昨日に質問のコメントを書かせていただいた者です。
    反映がされていないようですが、文字数オーバーで送信できなかった、若しくは承認が却下されてしまったのでしょうか?それともこちらの操作ミスでただ送信できていなかっただけでしょうか?

    1. pro-boki より:

      スパム判定されていました。多分、文字数オーバーによるシステムの自動判定だと思います。いま、反映しました。遅くなり申し訳ないです。

    2. あき より:

      とんでもないです!反映、ご回答ありがとうございます!

      適用指針でggれば良いのですね。次回からそうしてみます。とても参考になりました!URL熟読いたします。

      従業員拠出の仕訳も納得が行きました!暗記するしかないかと諦めていましたが、腹落ち出来てとても嬉しいです!

      入会にあたってそのような条件があったことを存ぜず申し訳ありません。

      もちろん現在の予備校はフルで活用しているつもりです。また、短答前に1級の合格も目標としています。ただ、こちらでご質問させていただくにあたって対価をお支払いしていないのが心苦しく、そのような理由もあり今回申し込みを検討しておりました。

      入会の条件に一致しない以上無理なお願いをするつもりはございませんが、また自分で調べた上でどうしても何か分からないことがあった際、入会者でない立場から複数回ご質問させていただいてもよろしいのでしょうか?(もちろん可の場合でも節度は守ります。)

      分からない部分を明確にしていく作業はちょうど本日これからする予定でした。講義を試聴して何を言っているのか分からないということが初めてだったので、少し不安になっていました。もう少しじっくり内容を考えて勉強してみたいと思います。

      退職給付については当初苦手でしたが、この記事のおかげで正答率がとても上がって得意になりました!他にも色々な記事を読ませていただいています。いつも本当にありがとうございます!

      改めまして、丁寧なご回答ありがとうございました!!

    3. pro-boki より:

      >また自分で調べた上でどうしても何か分からないことがあった際、入会者でない立場から複数回ご質問させていただいてもよろしいのでしょうか?

      本コメント欄は「記事についての疑問点」にお応えするために設けています。申し訳ないのですが、個別の受験生のご質問はお受けしておりません。ご了承ください。

      といいますか、

      >もちろん現在の予備校はフルで活用しているつもりです。

      と書かれているとおり、まずは、通っていらっしゃる予備校の講師に聞いてみることを強くおすすめします。今回の退職給付の従業員拠出についても講師におたずねになれば即解決だと思います。(退職給付についてテキストがT勘定で書かれているとのことですが、普通、講師ならT勘定、ワークシートのどちらも使えます。ワークシートが読めないと適用指針の設例すら読めませんから)

    4. あき より:

      もちろん記事内での不明点を前提にしています。記事の内容についてのご質問があればまたさせていただきます。

      予備校での「論点」の質問体制はチューターへのみとなっていまして、チューターの方何名かに伺っても「この仕訳は暗記していましたね…。」と言われてしまって困っていました…。ワークシートも、チューターの方は当記事とは形式が異なるものを書いているようでした。折角ご助言いただいているのに申し訳ありません。そんな中当記事を読ませていただき、本当にとても助かりました。理解ができてとても嬉しかったです^^ 慇懃無礼に感じられたら申し訳ありません><お礼を申し上げることしかできないのが心苦しくこのような文章になってしまいました。次回から記事に関係のないことは自重いたします。関係のない内容にも関わらずご回答いただきありがとうございました。

      富久田先生の講義をお聞きできないのは残念ですが、これからも勉強がんばります!ありがとうございました。

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