噛み砕けば簡単!原価計算基準・第3回講義

第一章・第三項「原価の本質」
第三項は「原価の本質」だ。そもそも原価ってなんだ?という原価の定義について書かれている。
これ、分かってしまえば、どうということは無い。たいしたことは書かれていない。しかし、意味を知らずに字面だけを追っていくと、何が何だか意味不明で嫌になることだろう。
ここをきちんと噛み砕いて解説したテキストが存在しないのはなぜなのか。公認会計士向けの教材は知らないが、少なくとも日商簿記1級のテキストでは見たことがない。いきなり原文を載せて、部分的にキーワードを隠して暗記せよという教材は存在するが、意味がさっぱり分からないものの暗記なんてできるわけがない。そんな勉強の何が面白いのか。ずいぶん不親切な教材だなと思ってしまう。
ここでは、もう、噛み砕くというより超意訳をしてみる。
お願いします!
原価の本質について
まずは第1段落を見ていこう。
原価計算制度において,原価とは,経営における一定の給付にかかわらせて,は握された財貨又は用役(以下これを「財貨」という。)の消費を,貨幣価値的に表わしたものである。
もうすでに分からない。経営における一定の給付ってなんだよ。は握って何?把握のことか?用役ってなんだよ。用役の消費ってどういうことだ?という訳の分からないものを貨幣価値的に表したのが原価ということだ。分からん。という感じだろう。では意訳してみよう。
企業というのは、経営をしていくうえで、物を作ったりサービスを提供したりするわけだけど、そのためには何かを消費しなければならないよね。その消費した分を金額で表したものを原価というよ。ちなみに、これは社会一般的でいうところの原価じゃないからね。あくまでも原価計算制度(詳しくは第2回講義を参照のこと)においての話だからね。
といった感じだろうか。うーん、意訳しすぎか。まあ、いいだろう。理解してもらうことが最優先だ。
原価の定義その1
(一)原価は,経済価値の消費である。経営の活動は,一定の財貨を生産し販売することを目的とし,一定の財貨を作り出すために,必要な財貨すなわち経済価値を消費する過程である。原価とは,かかる経営過程における価値の消費を意味する。
意訳
原価は、何か経済的に価値のあるものを消費したときに認識します。空気のように誰もが無償で入手できるものは経済的な価値がないので原価とは言えません。また、消費してはじめて原価となります。土地や材料を購入しただけでは原価とはなりません。
原価の定義その2
(二)原価は,経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であり,その給付にかかわらせて,は握されたものである。ここに給付とは,経営が作り出す財貨をいい,それは経営の最終給付のみでなく,中間的給付をも意味する。
意訳
製品の生産販売やサービスの提供のさい消費した分が原価です。例えば100円の材料を消費して製品を生産したなら、100円という価値が材料から製品に乗り移った(転嫁した)と考えます。なお、対象は最終的に生産される製品だけでなく半製品や副産物なども含まれます。
原価の定義その3
(三)原価は,経営目的に関連したものである。経営の目的は,一定の財貨を生産し販売することにあり,経営過程は,このための価値の消費と生成の過程である。原価は,かかる財貨の生産,販売に関して消費された経済価値であり,経営目的に関連しない価値の消費を含まない。財務活動は,財貨の生成および消費の過程たる経営過程以外の,資本の調達,返還,利益処分等の活動であり,したがってこれに関する費用たるいわゆる財務費用は,原則として原価を構成しない。
意訳
原価は、経営目的に関連した消費分しか認められません。ここで経営目的とは、生産と販売活動のことです。資金調達は財務活動なので、(原価計算基準でいうところの)経営目的ではありません。なお、一般管理活動は、経営目的活動と解釈されています。 また、未稼働の固定資産や、除却により長期休止している固定資産の減価償却費は、生産にも販売にも役立っていないため原価ではありません。通常は、営業外費用として処理します。
原価の定義その4
(四)原価は,正常的なものである。原価は,正常な状態のもとにおける経営活動を前提として,は握された価値の消費であり,異常な状態を原因とする価値の減少を含まない。
意訳
原価は、正常な状態における経営活動での消費分しか認められません。たとえば災害など異常な状態で消費された分は原価とは認識しません。この分は、一般に特別損失として処理します。(営業外費用として処理するものもあります)
なるほどです。
試験において大切なのは
キーワードの出題可能性から考えたら、赤字で書かれている箇所はすべて大切だ。ただし、内容的に特に大切なのは、3と4だ。なぜならば1と2は原価計算基準うんぬんとは関係なく、世間一般に「何かを作るために価値のあるものを消費したらそれを原価というよね」というのは当たり前のことだからだ。
それに対して、それは、経営目的に関連していないといけないだとか、正常じゃなきゃいけいない、というのは原価計算基準特有の概念だ。だからこそ、試験においては、3と4が大切だ。
第一章・第四項「原価の諸概念」の解説はこちら
第一章・第四項「原価の諸概念」の解説はこちらからどうぞ。
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