講師の内緒話(予想問題は必要?)

簿記講師の本音(作問者の本音)
予想問題集は必要か
私が日商簿記1級受験生だったときの話。
学習カリキュラムは、基本的に受講していたスクールが提示したものに沿っていたのだけれど、1つだけ明確に無視していたことがあった。それは、予想問題集(◯◯模試のようなもの)をやらないこと。
それには自分なりの理由があった。それは「そもそも予想に頼っている時点で、気分的に負けている」と思っていたこと。それからもう1点「過去問に勝る予想問題はない」と信じていたこと。だから予想問題集は必要ないと信じていた。
基礎がしっかりしていれば試験は受かる
実は、この気持は今でも変わっていない。私は、結構、試験に強くて、簿記以外にも、情報処理一種、AFPなどの受験経験があるが、ほとんど落ちたことがない。日商簿記1級に1回落ちた経験があるだけで、それ以外は全て一発合格だ。そして、どの資格試験でも次の2点を徹底している。
- 基礎を大事にすること。応用問題なんて出来なくていい。ただし基礎問題は完璧にする。理解するのは当然のこと、さらにスピーディかつ正確に解けるようにする。
- あらゆる問題集の中で過去問に勝る問題集はない。出題者の意図が読めるようになるまで過去問を徹底的に攻略すること。
この2点だけで、全ての試験に合格している。その自信が「予想問題は必要ない」という信念につながっている。
難しい予想問題はむしろ弊害
さて、そこで予想問題集だ。各社から予想問題が出ている。はっきり言うが難易度は高めに作られている。
(知っている人もいるかもしれないが)某社の1級予想問題集の工業簿記・原価計算の問題は私が作っている。作問するようになったのは2年前からだが、それまでの作問者に比べて、意図的に難易度を下げている(本試験レベルにあわせている)
作問する側から言わせてもらえば、難しく作るのなんて簡単だ。要素を増やして計算量を多くする、試験に出そうもない会計処理を出題する、複数の論点を絡める、などすればすぐに難易度はあげられる。だけど、それってどれほどの意味があるのだろうか。
基礎がしっかり出来ている人が、物足りないからもっと難易度の高い問題を趣味的にやりたい、というならいいと思う。
しかし、基礎が完璧じゃない人が、無駄に難易度の高い問題をやることは、試験を考えたら弊害しかないと思う。不安が増加する。モチベーションが下がる。基礎をしっかりやる時間が減る、など何一ついいことがない。合格が遠のくばかりだ。

なぜ予想問題は難しいのか
それなのに、では、なぜ、各社は難易度の高い予想問題を作るのか。
1つは保険を掛けたいからだ。多分出ないと思うけど、もしかすると出るかもしれないという端っこの論点があるとする。
試験対策を考えたら切るべきだ。そんなのより基礎をしっかりやったほうがいい。でも、予想問題を作る側からすると、保険を掛けておきたいのだ。
その論点を掲載しておいて、もしも出なくても特にクレームは来ない。話題にすらのぼらないだろう。でも、もし予想が当たったら「ほら、こんなに端っこの論点まで的確に的中させたんですよ、すごいでしょ」といえる。宣伝になる。
ということで、作問する側の理論からすれば、そういう端っこの論点ほど載せておきたいマインドにかられるのだ。
それから、難易度を下げてしまうと「模擬試験では合格点だったのに本試験では落ちたよ。模擬試験ってダメだな」と言われてしまう可能性がある。評判を落とす可能性がある。
それに対して難易度を上げておけば「模擬試験では合格点下回ったけど本試験受かったよ」という人が出て来る。それならクレームになる可能性はない。
この点からも模擬試験や予想問題というのは、作問する側からすると難易度を上げたいマインドにかられるのだ。
しかし、果たしてこれはどうなんだろうか。受験生のことを真剣に考えているだろうか。これって、スクール側の都合だけの理論じゃなかろうか。
せめてもの抵抗として、私の作る工原の問題だけは、難易度を本試験なみに設定している。模擬試験なんだもん、それが当然だと思う。じゃなければ模擬にならないじゃないかと。そう思うんだ。
“講師の内緒話(予想問題は必要?)” に対して12件のコメントがあります。
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pro-bokiさま
こんにちは。スクールSNSで一度お世話になりました。
(違うHNです、すみません。)
予想問題の件ですが、私も以前からそう思っています。
ひとつは、余りにも過去問をベースにした難易度ばかり高い問題が多いこと。
(ベースにしている過去問が露骨な問題も多いです。それなら過去問本体の解説をより充実させて、基礎と過去問との間で路頭に迷っている受験生を楽にしてくれれば、と思ってしまいます。)
もうひとつは、難しすぎる問題は、複数回回転させるのが困難なこと。
(例えばpro-bokiさんのスクールの商会の問題は、ボリュームが多く難易度が高過ぎて、複数回回転させるのは至難の業だと思います。無理やり回転しようとすると、解説とにらめっこで「その問題のやり方」だけを丸暗記するようになり、ちょっと出題の方向性が変わると太刀打ちできません。)
また、最近の本試験の問題は、以前のように過去問を焼き直してレベルアップさせた問題というよりは、本質的な考え方をベースにこれまでとはアプローチを変えた問題の方が多いような気がしていて、これも予想問題を支持しない理由のひとつです。(少なくとも工原はそんな気がします。)
受験生としては、あれもこれもやれと言われると、結局どっちつかずでどれも中途半端になってしまうことが多いと思います。(よほど頭のいい人か、効率的な人か、時間の有り余っている人を除いては。)それならまだ基礎を確実に押さえることと、過去問に注力しろと言われた方が取り組みやすいです。
そうですね。関係者として反省しきりです。会計士試験の話ですが「正答率50%以上の問題さえ正解すれば合格」というのは有名な話です。つまり半数以上の人が答えられる問題(基本問題)を全部正解すれば合格するのです。応用問題なんて全て落としてもいいのです。
多分、この攻略法はほぼ全ての資格試験に通じます。そういった意味では、回転させることすら困難な予想問題をやらせるというのは正直疑問です。結果、解き方の暗記に走るしかなくなってしまうことでしょう。それでは受かりません。
特に最近の工原は、本質的な考え方を理解しているかを問うような問題を出してきています。skyさんのおっしゃるとおりです。ですから、予想問題を回転させ、意味も分からず解き方暗記するのは無駄です。いかに、基礎をしっかりおさえて本質的な理解ができるかが勝負です。
もう少し言えば「基本問題を初見で解ける」そういった力が必要です。
本当に合格するためには何をどのようにすればいいのか。私達はもっと真剣に考えなければいけないと思います。反省です。スクール側の都合ではなく、受講生の立場にたったサービス提供をしたいと思っています。
資格ビジネスという言葉が頭をよぎりました。
これから2級復習して、1級合格目指す身で偉そうになるかもしれませんが、簿記はあまり合格したかしないかが関係ない試験だと思っています。どう使うかだと思うのです。
実際、業務独占資格でも、名称独占資格でもない検定試験です。
スクールで1級のオリエンテーションを聞いたりしたのですが、2級の点数で1級に行けるかどうかを判断していました。70点にたらなくても1級に行きましょうと。心でそんなわけないと感じ、ビジネスだと思いました。実際どれだけ簿記会計を理解しているかは人それぞれで、仮に受かってもただの暗記学習では意味ないですよね。(自分が痛い目にあい余計そう思います)また、独学では1級合格が難しいという言葉も同様に感じます。
予想問題に頼るようでは、合格は難しいですよとスクールでは言ってくれません(あたりまえかもしれませんが…)
少なくとも自分の頭で考えて、調べてという基本を忘れないで行きたいです。
>簿記はあまり合格したかしないかが関係ない試験だと思っています。どう使うかだと思うのです。
同意です。こちらを御覧ください。
https://pro-boki.net/column
>2級の点数で1級に行けるかどうかを判断していました。70点にたらなくても1級に行きましょうと。心でそんなわけないと感じ、ビジネスだと思いました。
1級に合格する人は、概ね2級を満点近く、少なくとも90点以上で受かっています。70点代でどうにか2級受かりました、というレベルでは、そもそも1級の授業についていけません。合格うんぬんのレベルではないのです。
ましてや2級で70点取れなくても1級行きましょうと言うのは、いくらなんでもひどい。受講生のことを考えてなさすぎる。
(私は講師として在籍していましたので)「2級70点未満の人を勧誘するのはやめた方がいい、信頼を落とす」と助言したのですが、考え方を変えれば、それに引っ掛かってしまう情報弱者の人を選別している、という意味である種有効なマーケティングでもあるのです。そういう方々は「自分は1級を受講している」ということを誇りに思い、スクールと馴れ合って、ずっと在籍し続けます。いつまでも受かりませんから。スクールとしては再受講料を頂き続けてありがたい限りです。ただ、長い目で見れば、そういうビジネスでは、失ってしまう信頼の方が大きいと思いますけどね。
>少なくとも自分の頭で考えて、調べてという基本を忘れないで行きたいです。
素晴らしいです。全てに共通する成功法則だと思います。
はじめまして。
スクールに通っていますが、2級2回不合格、今度145回で2級3回目の受験です。
簿記が好きなので将来1級を取得したいと考えています。
ずっとスクールの答練を暗記するくらい解いていましたが、本番の頃には基礎が抜けて毎回ダメでした。
なので、今回は基礎重視でいきます。
予想問題もですが、スクールの答練は基礎があやふやな受講生にはキツイです。
さらに答練解き直しもかなりの負担です。
もっと早く基礎の大切さに気が付けばと思いました。
ここ最近の2級は合格率低いですものね。最近2級を受験されている方は、ちょっと不運かな、という気もします。
2級の問題も解いていますが、その上での個人的な感想を言わせてもらえば、最近の2級の試験難易度がそれほど上がったとは思えません。ただ、従来のようなパターン暗記では、受からせないよ、という日商の意思は感じますね。パターンを変えて来てますよね。
それだけでこれほど合格率が落ちてしまうということは、いかに今までの受験生が基本もおさえずパターン暗記だけで受かってきたか、ということでもあると思います。ちょっと厳しい言い方ですが。
昨今の日商の動向を見ると、こういうパターン暗記で受からせようとしているスクールにとっては逆風だろうなと思います。NS社の過去問など名称が「パターンと解き方」ですからね。本質などよりとにかくパターン暗記というスクールは少なくないと思います。
でも、ある意味、そんな勉強の仕方じゃいけないんだ、ということに2級の段階で気付かれたのは逆に良かったのではないでしょうか。
パターン暗記で2級に受かってしまって、その学習方法が正しいと信じ込んだまま1級に来て、何年も苦労している人をたくさん見てきました。
逆に2級の段階から、パターンではなくちゃんと基本を押さえて本質をつかもうとされている方は1級もスムーズに受かっています。早いうちに正しい学習方法に気づかれたので、これからは逆にスムーズにいくんじゃないでしょうか。
丁寧にありがとうございます。
来月の3月末に合格の報告ができるよう、
残り一週間切りましたが、最善を尽くします。
合格だと思ったら、第二問で単位ミス(問題と解答用紙の単位が違う)で不合格決定となりました。
数字も仕訳もあってはいたけれど、私の不注意です。
第一問20、第四問20、第五問は半分くらいでした。第三問は部分点なのでいずれにしろ私の努力不足です。
第二問でミスをしなければと悔やまれますが、次回6月取得目指します。
ありがとうございました。
通りすがりにすみません
さつきと申します
一言お礼を申し上げたくて・・
146回86点ぐらいで合格見込みです
予想問題はこの記事を読んでから、一切やらないと心に決めて、
過去問とテキスト、基本問題集を理解しながらすることを徹底しました(独学でした)
(先生が事業分離の記事で、「重箱の隅」とおっしゃてた論点は出ましたが・・笑すみません笑)
デリバティブ、他勘定振替高、原価計算基準、費目別計算の記事には特にお世話になりました
あんまりに感動しすぎて、
勝手にツイッターやブログでも宣伝させていただいていました(もちろん、いい意味で、ですよ!)
本当に、こんな素晴らしい内容が無料で公開されていること自体に最初は目を疑ったほどです
一方的に、大変お世話になりました。
ありがとうございました。
おめでとうございます。
うれしいです。もうね。超うれしいです。ありがとう。
独学で86点は、素晴らしいどころじゃないですね。
気分的には満点近い感じです。
次に進むのですか?お若いのなら会計士行けそうですが。
それから、冗談じゃなくて会計関連のアルバイトしませんか?
もし、よろしければ、問い合わせフォームからお問い合わせ頂けると嬉しいです。
お待ちしております。
(もし、お問い合わせ頂けるのなら、さつきさんのお名前と、アルバイトの件でとか書いて頂ければそれだけで結構です。本文無くても結構です。)
いつもご多忙の中、我々受験生の質問に丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。
私は今年11月の1級試験(156回)の受験を目標に勉強しています。
先日、別のブログで私事のコメントを書かせていただきましたが、昨年11月から簿記の勉強を始め、先日の2級に合格できました。
そこで、教えていただきたいことがあります。
今度の11月の受験にあたり、ぶっつけ本番で臨むか、模擬試験などを受けるか悩んでおります。
私の考えですが、模擬試験は必須ではないと思っております(模擬試験を受けるなら、自宅で過去問にその時間を使う方が効果的)。しかし、1級となると本番の前に何かしら本番と同等の経験が必要と考えています。そこで、勉強量は十分でないですが、まずは6月に1級を受験しようかと思っています。勉強量が十分でない状態で受験するのはどうかとも思いますが、本試験に勝る経験はないと考えています。
私個人のご相談で掲示板にコメントするのは恐縮ですが、アドバイスをいただければ幸いです。
6月受験のメリットとデメリットを書いてみました。受験するかしないかは、あなた次第。
受験するメリット
会場の雰囲気はどうか、自分はどれくらい緊張するか、当日の注意点など、実体験出来る
目標点数を決め、それを達成するための学習法を考える事自体が有意義
受験するデメリット